映画「ELLE」が描くパリマダムの強烈な日常 残酷な「弱肉強食」の世界を淡々と書いている
今、日本でも話題になっているフランスのサスペンス映画『エル ELLE』(2016年)を見てきました。監督は、『氷の微笑』『ロボコップ』のポール・バーホーベン氏、主演は『ピアニスト』のイザベル・ユペール。
ちなみに、タイトルのELLEとは、英語でShe、日本語なら「彼女」という意味です。映画のキャッチフレーズにある「極上エロティックサスペンス」に興味をそそられたのか、館内は老若男女のカップルで満席でした。
ストーリーは、ゲーム会社のCEOを務めるミシェルが、一人暮らしの自宅で覆面の男に襲われるところから始まります。その後も続く、自分の生活リズムを把握しているかのような不審な出来事に、ミシェル自ら犯人を捜し始める――、というもの。フランス映画にしては、難解な哲学もなくわかりやすいストーリーです。
ヒロインを演じるのは64歳のイザベル・ユペール
ヒロインのミシェルを演じるイザベル・ユペールは、御年64歳。CEOとして社会的に自立している強く美しい女性を好演しています。フェースラインもボディもたるみはなく、とても還暦を過ぎているようには見えません。コーカサス人種ですと、エイジングはアジアより早く進みがちなものですが、目ジワもエロティック、さすが女優さんです。なお、この年代で襲われるというのも、フランスならではかもしれません。女性の魅力は――性的なものを含めて――年齢とはまったく関係ないのです。
ここで描かれているのは、パリのマダムのりのままな“生態系”なのです。
私が、執筆活動のフィールドを専門である美容分野からフランス人のライフスタイルへと転換したきっかけは、“パリマダ”こと『パリのマダムに生涯恋愛現役の秘訣を学ぶ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン社刊)の出版でした。その頃、読者からこんなふうに尋ねられたことを思い出します。
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