ドコモのベンチャー育成人が転職で狙うこと 新天地はシリコンバレーの「職人気質VC」

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トランスリンクの得意技は、投資したシリコンバレーのベンチャーと日韓中台の大手企業をつなぎオープンイノベーションを促すことだ。過去10年間で126の事業会社にベンチャーを紹介。64のベンチャーが事業会社と契約を締結、32のベンチャーが事業会社から出資を受けた。

同社の最大の特徴は、「事業会社の戦略的リターンと、ファンドとしてのリターンを両軸としてどちらも同じように重視している点。そんなVCは世界中を探してもまず見当たらないが、トランスリンクは設立時から、その2つの軸を同様に重視してきた。今もその姿勢を貫いている」(秋元氏)。

トランスリンクの1号ファンドは2006年に5000万ドルを集め、15社に投資。うち8社がイグジット(他社への売却や株式公開での株放出)を迎えている。2010年の2号は7200万ドルで18社、イグジットは7社。2014年の3号ファンドは1億2700万ドルを集めて19社に出資。すでに2社がイグジットを迎えている。

「『攻殻機動隊』実現の夢はあきらめない!」

「攻殻機動隊リアライズプロジェクト」への熱い思いを語る秋元氏(撮影:尾形文繁)

秋元氏は「攻殻機動隊リアライズプロジェクト」に賛同し、「(近未来アニメ)『攻殻機動隊』の世界観(感情を持ったロボットや自動運転など)を実現するようなベンチャーを応援する取り組みがあってもいい」と明言。

「ウェアラブル端末よりもインプランタブル(体内に埋め込む形)が実現しないかなと個人的には思っている」「リストバンド型よりも電子タトゥー(米国ではすでに特許化)が実用化されると健康増進のみならず医療系にも応用が利く」などのとがった発言で注目を集めてきた。

今後も『攻殻機動隊』の世界観を実現するベンチャーへの支援を目指すのか。秋元氏は「トランスリンクのネタ(投資先)としては難しい」とする一方、「個人としては手伝っていきたい。リアライズプロジェクトとはつながっている」と決して夢をあきらめるつもりはないとしている。

ドコモを離れた秋元氏だが、「入社したNTTの時代からドコモ時代までの計約30年間、たいへんお世話になった。 NTTやドコモは本当にいい会社。いまだに大好きだし、キャリア(通信会社)としての愛着もある。何らかの形でドコモなどNTTグループに今後貢献できる場面があったらうれしい」と、今回の転職がけんか別れではないことを強調していたのが印象的だった。

山田 雄一郎 東洋経済 記者

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やまだ ゆういちろう / Yuichiro Yamada

1994年慶応大学大学院商学研究科(計量経済学分野)修了、同年入社。1996年から記者。自動車部品・トラック、証券、消費者金融・リース、オフィス家具・建材、地銀、電子制御・電線、パチンコ・パチスロ、重電・総合電機、陸運・海運、石油元売り、化学繊維、通信、SI、造船・重工を担当。『月刊金融ビジネス』『会社四季報』『週刊東洋経済』の各編集部を経験。業界担当とは別にインサイダー事件、日本将棋連盟の不祥事、引越社の不当労働行為、医学部受験不正、検察庁、ゴーンショックを取材・執筆。『週刊東洋経済』編集部では「郵政民営化」「徹底解明ライブドア」「徹底解剖村上ファンド」「シェールガス革命」「サプリメント」「鬱」「認知症」「MBO」「ローランド」「減損の謎、IFRSの不可思議」「日本郵政株上場」「東芝危機」「村上、再び。」「村上強制調査」「ニケシュ電撃辞任」「保険に騙されるな」「保険の罠」の特集を企画・執筆。『トリックスター 村上ファンド4444億円の闇』は同期である山田雄大記者との共著。

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