ドコモのベンチャー育成人が転職で狙うこと 新天地はシリコンバレーの「職人気質VC」

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「CVC関係者が集まると『CVCあるある』話で盛り上がる。(芸能人やスポーツ選手が失敗談を自ら語るテレビ番組)『しくじり先生  俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系列)のような内容ばかりだ。失敗事例を共有することで成功に近づこうという動きも出てきつつある。それほど、CVCには失敗例が多い」(秋元氏)。その中にあって、ドコモ・ベンチャーズはドローンの機体やサービス開発で有望な中東イスラエルのベンチャー企業に投資するなど、順調な立ち上がりを見せていた。

秋元氏は約1年前の2016年7月にベンチャーズを離れ、ドコモのスマートライフビジネス本部グローバルサービス推進室に室長として異動。「定期的な人事異動」(ドコモ広報部)だった。くすぶりかけていた秋元氏に声をかけたのが、シリコンバレーのベンチャーキャピタル(以下VC)、トランスリンク・キャピタルの大谷俊哉・共同創業者兼マネージング・ディレクターだ。

転職先は「職人気質で気持ちのいい連中」

秋元信行(あきもと のぶゆき)/1964年生まれ。1987年NTT入社。1999年ドコモに出向。2000年ドコモ米国研究所COO。2005年米ドコモ・キャピタル プレジデント&CEO。2013年NTTドコモ・ベンチャーズ副社長。2016年7月NTTドコモスマートライフビジネス本部グローバルサービス推進室長。2017年7月から米トランスリンク・キャピタル マネージング・パートナー(現職)(撮影:尾形文繁)

「大谷氏とは2006年のトランスリンク設立以来からの付き合いで、人となりもよく知っている。トランスリンクの人間は皆、ベンチャー発掘などVCの社会的使命に忠実な職人気質ばかり。侃侃諤諤の議論をするが後腐れのない気持ちのいい連中だ。所帯は小さいが互いにきちっと信頼できて、仲間としてやっていける。これは重要なポイントだった」(秋元氏)

9月20日で53歳になる秋元氏は「年齢的にいってキャリアチェンジの最後のチャンスだと思った。ドコモ時代にさまざまなパターンの投資を経験したが、トランスリンクが得意とする『事業会社のオープンイノベーションを外から手助けすること』はしたことがなかったし、事業会社のドコモではできようもないこと。それができるベストな場が見つかった」と転職理由を語る。

トランスリンクは韓国サムスン電子、ソフトバンク、台湾鴻海(ホンハイ)精密工業、同UMCなどアジアの名だたる企業の出身者が運営するVCだ。日本人のほか、韓国系米国人、中国系米国人で構成される多国籍チームでもある。

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