ところが、吉野家やマクドナルドなど低価格商品を提供しているファストフード店は、あまり資産効果の影響を受けません。
つまり、アベノミクスの恩恵はほとんど受けていないどころか、円安による悪影響の方が大きいというわけです。
そこで、「売り上げを増やすために、客単価を上げたい」という思惑から、高価格商品を投入し始めました。当面は低価格路線を維持しながらも高価格メニューも展開する、という戦略を取らざるをえないのです。
逆風を跳ね返せるのか
では、ファストフード店に逆転のチャンスはあるのでしょうか。原価を下げる要因は、ほとんどありません。円安傾向は今後も続くでしょうし、人件費、特にパートの人たちの人件費は有効求人倍率の上昇もあり、これ以上、下げようがありません。さらに、吉野家は、厨房にいる従業員が動く一歩の歩幅までも計算して、徹底的に効率化を図っています。生産性の大きな向上も望みにくいと言えます。
直近(6月)で有効求人倍率が0.92倍まで上昇していますから、もし人件費の単価を下げてしまえば、従業員はより給料の高い仕事へ流れていってしまうことが考えられます。ですから、原価を下げるどころか、今後は今以上に上がってしまう可能性のほうが高いのです。
こうした状況を打破するために、吉野家はこれからどのような戦略を打ち出してくるのでしょうか。同社は8月22日に、肉の中でも比較的価格の低い鶏肉を使った「焼き鳥つくね丼」と「鳥マヨつくね丼」を発売しました。原価を抑えつつ、消費者の心をつかもうというのです。こうした地道な戦略が業績を押し上げるのかどうか。そして、円安がどこまで進むのか。これらの点に注目です。
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