誰でも配達員、「物流版ウーバー」は広がるか バイク便大手が専用アプリを2年かけ開発
配送アプリ上では荷主が荷物の量や配送先を入力すると、近隣にいる配達員が表示される。荷主はドライバーが提示する運賃や荷主からの評価を参考に配達員を決定する。荷主からの評価は最大星5個の5段階評価の平均値だ。
まだ配達員としての経験がなかった中谷さんは、セルートが3キロメートルまでの基本運賃としていた1080円(税込み)を設定した。アプリを運営するセルートから手数料9%の約100円が引かれ、約980円を受け取ることができた。手数料9%は事前登録者向けのキャンペーンで、通常は20%だ。
セルートが最もこだわったのが手数料の設定だ。配送アプリ事業の責任者、松崎晋也・デリバリュー東日本営業本部長によれば、自転車やバイクを使う事業者の場合、配達員調整に必要な人件費がかさむため、一般的に手数料は40%を超える。一方でダイヤクでは調整に人が介在しない。競合他社の率も見ながら、20%に抑えた。「手数料を割安にすれば、配送料金を抑えつつ、配達員の収入も上げられる」(松崎氏)。
荷主には配達料金の安さが魅力
配送料金の安さは、頻繁に荷物を発送する荷主にとって最大のメリットだ。今回、書類の配送にダイヤクを利用したノースショアの担当者は「これまでに比べ、ざっくり2~3割安くできた」と話し、継続的な利用を検討中だ。ほかにも、従来はわからなかった集荷前のドライバーの位置や配送にかかる所要時間がリアルタイムに表示されることも、サービスを使ううえでの安心材料だと評価する。
配送が終わると、受取人は受領サインを配達員のスマートフォンのアプリ画面に入力する。タッチペンなどではなく、手でなぞれば名前を書ける仕組みだ。荷主とセルート側にも受領サインの画像がすぐに通知される。
従来のバイク便では、受領書をセルートのオフィスに持ち帰り、荷主にもファックスなどで送る必要があったが、ペーパーレス化により配達員の手間がなくなった。配達のみに集中できるようになったわけだ。
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