東京メトロ社長「私も地下通路で道に迷う」 巨大私鉄は上場や都営との統合にどう臨む

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――人事部の課長時代に、働きながらビジネススクールに通っていた。

2005年から2007年にかけ、東京・茗荷谷にある筑波大学大学院ビジネス研究学科に通っていた。上野にある会社からは30分くらいかな。

――ビジネススクールに派遣する人事制度を活用した?

当時はそうした制度はなかったと思う。自分の意志で通った。2004年に民営化したので、民営化後に従業員の意識をどうすれば高めることができるかというのが研究テーマだった。

クラスでは20~30代の方が多かったが、自分は40代半ば。でもいろんな話が聞けて勉強になった。通った経験が血となり肉になっているという部分があるかもしれない。

再発防止策だけでなく未然に防ぐ方策を

――ビジネススクールに通ったということは、将来は社長になりたいと当時から考えていた?

それはない。もともと技術系で入社したのに、人事というマネジメント的な職場に来たので、経営学を勉強しておいたほうが仕事に役立つのではないかと考えた。

――社長の内示があったのはいつですか?

比較的最近だった。大変な仕事だが、ほかにやる人がいないのなら、自分がやらなくてはいけないのかなと思った。

東京メトロが2016年4月に新木場駅近くに開設した総合研修訓練センター。これまで分散していた研修施設を統合した。訓練設備に81億円を投じ、東京メトロで起きうるトラブルのすべてを再現可能だ。社員の安全意識を作り出す拠点となっている(撮影:尾形文繁)

――社長になってまず着手することは?

安全対策だ。事故の再発を防ぐという企業文化は社員の間で定着しているが、事故が起きてから対策を取るのでは不十分。事故を未然に防止するために普段から何をしなくてはいけないかということを重視していきたい。

 

                                                                 (週刊東洋経済9月2日号「この人に聞く」に加筆)

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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