ホンダ「N-BOX」は軽自動車の王座を守れるか まるでミニバン、車内の使い勝手を徹底追求
ユーザーからのニーズが大きい安全運転支援システム「ホンダ センシング」は、全車に標準装備した。ミニバン「フリード」などの登録車と同等の機能を搭載したうえ、駐車時などに後方への誤発進を抑制する機能をホンダ車で初めて採用した。日本本部営業企画部の加藤悠規主任は「旧型で競合他社の軽に負けていた安全装備を充実させ、商談時のアピール材料にしたい」と意気込む。
N-BOXとその派生モデルを含めた「N」シリーズは、日本のユーザーの意見を取り入れやすい開発体制を敷いている。軽自動車の生産拠点である鈴鹿製作所に販売、製造、開発、購買の部署すべてを1つのフロアに集約させ、「SKI(鈴鹿・軽・イノベーション)」と呼ばれるプロジェクトにまとめている。
発売後もユーザーの意見を続々反映
旧型は発売後にもユーザーからの意見を取り入れた。SKIの体制により、初期にはなかった後部座席を前後に動かせる機能を追加したり、インテリアや内装の色の選択肢を増やしたりと、ユーザーの要望への素早い対応が可能になった。
新型の開発も、製造、開発、購買の間で調整しながら進めることができたため、「開発過程で行ったり来たりすることがなく、部品の調達コストも下げられた」(前出の白土氏)という。
N-BOXの主要な顧客層は、小学校入学前の子どもを持つ子育て世代だ。彼らの使い方を徹底的に研究した結果、もうひとつの目玉機能が生まれた。前後に57センチメートル動かせる「助手席スーパースライドシート」だ。税込み159万円以上のグレードに搭載される。
大きくスライドするシートというと、ゆったり座るためのものかと連想するかもしれない。だがN-BOXのスーパースライドシートは、後部座席から運転席への車内移動(ウォークスルー)を可能にした。助手席の背もたれを倒して助手席を前へスライドさせると、大人が後部座席から運転席に移動ができるスペースが生まれる構造になっている。
今までの軽では、親がスライドドアから後部座席に乗り込み、子どもをチャイルドシートに座らせ、一旦車外に出てから運転席へ移動しなければならず、不便を感じる人が多かった。雨の日や交通量の多い道路上なら、なおさらおっくうな場面だ。こうした面倒をなくしたいという開発陣の思いが、今回具現化された形だ。
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