LIXIL、大型買収でまずは北米攻略 国内はエディオンへ出資も、シャープ支援は否定
LIXILにとって、北米の水回り市場はほとんど手付かずの新市場。そこへの突破口として、現地でトップクラスのシェアを持つASBを手に入れた意味は小さくない。
ASB買収で北米のみならず南米開拓にも弾み
リーマンショック後に急速に冷え込んだ北米の住宅市場は、米国経済と歩調を合わせるように回復基調にあり、今後は量と価格の両面で成長が期待できる。ASBは業界大手として、その恩恵を享受できるというマクロ的な側面でのメリットがまずある。
アジア、北米をまたぐグローバルなサプライチェーンが構築できるという利点もある。ASBの製造拠点はメキシコに集中しているが、その生産能力は「すでに上限に達している」(ASBのジェイ・ゴールド社長)という状況にあり、今後はLIXILが中国、タイ、ベトナムなど海外に保有する製造工場からの供給を増やしたり、新たな商品アイテムを投入したりすることで、コスト面でのメリットが期待できる。
さらに、北米に拠点を得たことで、今後の新市場としてブラジルなどの南米市場開拓にも弾みがつく。
ASBは138年の歴史を持つ米国屈指のブランドだが、たび重なる買収や他事業との統合再編を繰り返してきた。2007年にはプライベート・エクイティ投資会社のベイン・キャピタルの傘下に入ったが、その前後から米国住宅市況の悪化や中国メーカーとの価格競争などにより収益基盤が劣化。北米事業については2008年にサン・キャピタルという別の投資会社に転売され、「ドル箱」(LIXIL関係者)といわれたアジア太平洋部門は09年にLIXIL(当時の住生活グループ)に買収されるなど、ブランドそのものも切り売りの対象になっている。
投資会社へ転売された時点では過剰設備を抱え、資産内容も収益力も毀損していたASB。その後、大がかりなリストラが断行され、「24の工場が合理化の対象となった」(ゴールド社長)という。
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