新型iPhoneに満載される革新は期待以上だ 最先端ではないがガッカリしてはいけない

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発表内容は盛り沢山だ。しかし、それでも「変わり映えしない」「サプライズ不足」との批判的論評も出てくるに違いない。

アップルは、シリコンバレー企業の中では、どちらかというとテクノロジーの進歩の速度を適度に保つ存在だ。ティム・クックCEOも時折口にしているとおり、「最先端ではなく最高のものを提供すること」がゴールだという。

例えば最新のiPhone 8に搭載される有機ELディスプレイや、ワイヤレス充電、顔面認証などの技術は、必ずしもアップルが初めて採用するわけではない。このことからも、9月12日に発表されるiPhoneがスペックの面で最先端のものになるとの期待は過剰だ。

エコシステムの発展にも注目するべき

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その一方で、ハードウェアとソフトウェアの双方を自社で開発している強みは、存分に発揮されることになるだろう。

新しい写真やビデオの保存形式は、特にビデオ撮影の負担を軽減し、SNSでより多くのビデオが共有される方向へ、トレンドの転換が起きるかもしれない。

また機械学習処理をアプリに組み込めるようにしたことで、これまで機能やデザイン、ユーザーインターフェースなどで決まってきた「アプリの善し悪し」に、新たに「機械学習モデル」、すなわちどれだけ賢いか、が評価軸に加わる可能性がある。ARについても、ゲームや教育以外の広範にわたる活用アイデアが咲き乱れることになるだろう。

筆者も含め、「iPhoneの新モデル(ハードウェア)がどんなものになるのか」に期待と関心が集中しがちだ。しかしそれだけではなく、新型iPhoneによって、スマートフォンの新しい活用やアプリエコシステムの発展の方向性についても注目していくべきだろう。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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