香港「雨傘運動」、若者たちに実刑判決の意味

北京政府に「忖度」した香港司法

中国では、先日肝臓ガンで亡くなった劉暁波ら人権活動家や弁護士は、本来、罪に問われることをしていないが、中国の司法で「国家転覆を企てた」「社会の秩序を乱した」などの罪名で裁かれている政治犯である。香港においてはそうした政治犯は存在しないはずだったが、今回の判決によって、香港が「中国化」しつつあることをさらに印象付けた。

「1国2制度」から「1国1制度」に

タイミングもあまりにもあからさまだ。習近平国家主席が7月1日の香港返還20周年で香港を訪問し、「中央の権力や『香港基本法』の権威への挑戦は絶対に許さない」と語った。その直後から、香港では、民主化運動に絡んだ案件で過去に遡っての量刑の見直しが本格化する動きが始った。

今回、香港の司法が、過去の判例などではありえない形で、特段明確な新証拠のないなか、第1審の判決を覆したことは、民主化運動や法律にかかわっている人々にも想像を超えたものであり、北京政府に対する香港政府および司法機関の「忖度」以外の合理的な理由は考えられない、というのが一致した見方だ。

香港の法律では、3カ月以上の実刑を受けると、5年間は選挙に立候補することができない。2018年初めに行われる立法会の補欠選、2020年の立法会選挙などにも出馬できない。3人とも知名度が高く、民主化運動の中心人物だっただけに、ここで彼らの政治活動が中断されることは、各政党や民主化運動に対する大きな打撃となる。それだけに、むしろそれを狙いとした判決だと見ることも可能だ。

今回の一件で、香港の司法への信頼性が揺らいでいることも、次第に明確になってきている。少なからぬ香港人は、声を潜めてこの「変化」を見守りながら、なかには香港を見切って外国に行く道を考え始めている人もいるだろう。

返還のときに中国が保証した「1国2制度」が「1国1制度」に変質し、「50年不変」が「20年不変」に過ぎなかったことが明確になりつつある。香港の未来に対する「約束」が次々と損なわれていくことを目撃させられるのが、習近平時代の香港政策の特徴のようである。

(文:野嶋 剛/ジャーナリスト)

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