垂れ耳猫のスコフォはこの世から消えるのか 実は軟骨異常、動物愛護団体から残酷との声

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スコティッシュフォールドが骨軟骨異形成症を発症する遺伝子に関する研究を発表したシドニー大学の獣医内科専門家、リチャード・マリク博士はタイムズ紙に対し、スコティッシュフォールドは病気の状態を留めさせている品種であり、繁殖させるのは「残酷」で「倫理的に弁解の余地がない」と語っている。

タイムズ紙はまた、スコットランド動物虐待防止協会(SSPCA)が、スコットランド自治政府に対しスコティッシュフォールドの繁殖を禁止するよう求めているとも伝えている。SSPCAのマイク・フリン会長は、スコティッシュフォールドが健康面で深刻な問題を抱えることはよくあると指摘。動きたがらない、変わった姿勢や歩き方をする、手足が変形する、などは、軟骨や骨がきちんと成長しないことから、関節炎など痛みを伴う病気を発症していることが原因だという。

スコットランド政府はペットの繁殖問題を考察

BBCによると、英国の血統登録団体の育猫管理評議会(GCCF)は1970年代、スコティッシュフォールドは耳に疾患や聴覚問題の懸念があるとして、この品種の登録を取りやめた。これをきっかけに英国でスコティッシュフォールドの人気は衰え、GCCFは現在でも登録を禁止しているという(他の団体での登録は可能)。

ブリーダーの中には反論する声もあり、タイムズ紙は世界最大の愛猫協会CFAのブリーダーの「厳選して交配することで、硬い尻尾や短い尻尾、骨病変などの問題は解決した」という声を、BBCは「健康上の問題の数は他の品種とそんなに変わらない」というスコティッシュフォールド繁殖歴10年のブリーダーの話を、それぞれ紹介している。

スコットランドでは現在、スコティッシュフォールドの繁殖は禁止されておらず、猫の繁殖に関しても制限はないものの、ペット福祉の見直しの一環として、繁殖の問題について考えているところだと、スコットランド自治政府報道官はタイムズ紙に語っている。

英国獣医師会のグドルン・ラビッツ氏はBBCに対し、健康など動物の生活の質よりも外見上のかわいらしさを優先して人がペットを選びたがる傾向は、SNSにより加速していると指摘。健康を損なってまで人工的に作られた猫ではなく、保護施設にも愛らしいペットになる猫はたくさんいる、と話している。

(文:松丸さとみ)

「ニューズウィーク日本版」ウェブ編集部

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