黒字鉄道にも災害復旧補助「法改正案」の中身 被災路線が赤字なら国の補助対象に

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投資が回収できる収入見込みがなく、維持運営費負担が毎年増える一方の設備に投資する企業はない。輸送量を勘案すると、公共性の確保というならバスでも可能なほどの閑散線区だ。被災ローカル鉄道のバス化提案にも、首肯できる理由があったのだ。

しかし収益に基づく「企業の論理」の一方で、公共交通機関である鉄道を社会インフラと見なし、公的な負担によって維持管理してゆくべきという論理も、今回の改正案の背景にある。

たとえば国道の場合、災害からの復旧費用はすべて公費により賄われる。その道を走っていた路線バスがあっても、バス会社が負担を求められることはない。ローカル鉄道の場合も、これまで鉄道事業者の私有物であった線路などの設備を復旧後は公的な財産とすれば、運営費の負担からも鉄道事業者は解放される。鉄道も、道路や港湾などと同じく公共財として維持していくと認め、そのためならば補助率の引き上げも是とされたのである。

被災各路線への適用が望まれる

公有民営方式での運転再開が決まった山田線。JR東日本の負担によりすでに復旧工事が始まっている(筆者撮影)

今回の法整備がなされる以前に、鉄道事業者と地元自治体が復旧方法について合意した例には、やはり東日本大震災で被災したJR山田線の宮古―釜石間がある。ここではJR東日本が復旧費を負担。2018年度が予定される復旧後、線路設備は地元自治体に無償譲渡し、列車の運行、営業は三陸鉄道が担う。JR東日本は将来における、同区間の運営費負担軽減と引き換えに復旧費負担を受け入れた形だ。

三陸鉄道は、これにより路線が盛―釜石―宮古―久慈間と一本化され、直通運転も強化される。だが、利用者が負担する運賃はJR東日本時代より確実に上がると予想される。ちなみに宮古―久慈間71.0kmの三陸鉄道の運賃は現行1850円だが、JR東日本の地方交通線における、71.0kmの区間の運賃は1320円である。

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