「るるぶ」経営のレストランは何が新しいのか 編集者ならではの「こだわり」がある
また、メニューブックにも編集者らしさが表れて、まるで雑誌のよう。8ページで構成された誌面に、料理やその土地の観光情報などが美しく、また読み物としても楽しめるように紹介されている。持ち帰りは自由だそうだ。
これらの工夫は、「地域の情報発信」として機能するほか、お客同士の話題づくりとしても役立っているようだ。
「お客様の会話を聞いていると、“今度の休みに(特集されている地域に)行ってみようか!”などと旅行の話題になったり、出身地の話題で盛り上がっていることが多いようです」(青木氏)
しかし、同店の第一の目的が「店舗型メディア」としての機能であるにしろ、飲食店事業であるからには、利益を追求するのが当然だ。では現時点での業績はどうなのだろうか。
「まだ2カ月というところですので、データの集積までには至っていません。ですが満席のことも多く、事前予測よりいい数字が出ていると感じています」(青木氏)
6時間半で5~6回転することもある
席数は20席で、午後5時から11時半までの平日の営業時間内で5~6回転することもある。個々の客の在店時間も1時間から1時間半と、比較的短い。このことは、商業施設としての「バル横丁」の狙いに関係している。ひとつのフロア内にバースタイルの店舗を9つそろえ、さまざまな店を回ってはしご酒を楽しんでもらうということだそうだ。そのため、横丁内の店舗ではチャージも設定されておらず、注文しやすい量・価格帯のメニューが用意されている。
「平日はやはり周辺で働く人が多く来店されます。土日はまったく客層が変わりますね。男女比で言えば、女性が半分以上。女性のグループ客も多いですね。リピート率も高いです」(青木氏)
人気のメニューは、さまざまな地域からの取り寄せ食材を使った「おまかせおつまみ盛り合わせプレート」(3種980円/5種1380円)。この中のひとつであるスペイン風オムレツで説明すると、同店のメニューの特徴がわかりやすい。一見して普通のスペイン風オムレツに見えるが、食べてみると、何か懐かしいような、不思議な味わいがある。実は、高知県の物産「万能おかず生姜」が混ぜ込まれているのだそうだ。また添えられているケチャップは愛媛県西予市の「こどもケチャップ」。同地域で採れた完熟トマトだけを使った無添加の自家製ケチャップで、市販のものより口当たりがまろやかだ。
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