アマゾンに掲載する広告に注目が集まる理由 熱視線を向ける広告主たち
スピリッツやビールを製造する酒造メーカーのディアジオ(Diageo)は、「信頼できる市場」と呼ばれるインベントリーもまたAmazonの信用の象徴だと考えている。ほかの大手広告主と同様、スミノフを所有する同メーカーはメディアオーナーに対し、独自の検証を導入するよう求めた。その一環として、Amazonをはじめ複数のパートナーに、自身のメディア予算と引き換えに9つの要件を飲むよう伝えた。
本気で広告収入を伸ばすなら、Amazonはファネルの下部に位置するメディアバイイングから、ブランドがより多額の予算を抱える上端に向かう必要があると、VCCPのフェントン―エルストン氏は述べた。Amazonではサイトとアプリの両方で検索やディスプレイの機会を提供しており、端末間のマッチングも可能だが、ボルネール氏はそれでもAmazonにとってのスイートスポットはファネルの中間から下部なのだという。それでも、同小売業者の過去の購入データは、買い物客の興味や、収入もある程度把握できるもので、ブランドの広告主にとって役立つものであると、彼はいった。
データのファクター
いずれにしても、Amazonが広告の分野に進出するのであれば、同社にとって切り札となるのはデータだ。アメリカのオンライン買い物客の55%が同サイトで商品の検索をはじめることが明らかになったあとなら、なおさらだ。Facebookは誰がどんな人で、何に興味を持っているかを知っており、Googleは人々が積極的に探しているものが何かを把握している。しかし、人々が何を買うか、というデータを持っているのはAmazonだけだ。
つまり、オンライン消費で投資対効果を優先する広告主なら、FacebookやGoogleよりもAmazonのメディア商品の方が優れたパフォーマンスを得られるということだ。しかし実際には、同小売業者から購入したキャンペーンの結果には、さまざまな要素が混在している。情報提供者はAmazonの広告商品全般を扱う専門家を自社内に有するエージェンシー、ロースト(Roast)のマネージングディレクター、ガレス・オーウェン氏だ。彼は、Amazonのアカウントチームからもっと多くのフィードバックを得られれば役立つと付け加えた。
Amazonの広告ビジネスの成長を阻んでいるほかの要因は、ディスプレイ広告とペイドサーチインベントリの複雑さ、アカウント管理の問題、そしてレスポンスタイムの遅れなどがあるとオーウェン氏はいう。
「ここでもっと積極的に行動すれば、Amazonはこの分野でさらにスピーディに成長できるだろう」と彼は語った。
Amazonがデジタルおよびプログラマティック専門家雇用に努める様子を見ると、同社がオーウェン氏の見解に気づいていることが窺える。Amazonの最高財務責任者(CFO)であるブライアン・オルサブスキー氏は、7月27日の業績発表の際、同社の広告およびAmazonウェブサービス部門の営業担当者数は全体平均の42%以上の速さで増えていると発表した。さらに、イギリスのAmazonメディアグループでは広告の上級職に複数の空席があると発表している。
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