緊迫するシリア情勢、消費税論議にも影響か 日本株の下落圧力に
[東京 28日 ロイター] - 混迷の度を深めるシリア情勢打開へ欧米が軍事介入への動きを強めており、金融市場にも動揺が広がってきた。シリア情勢の悪化はエネルギー価格の上昇を招き、米国、日本など世界経済の不安要因にもなりかねない。
日本経済にとっては、株価が下落すれば景気回復を支えてきた個人消費にも不安が出る。シリア情勢の展開次第では、消費増税実施の議論に影響が及ぶ可能性もある。
金融市場に「質への逃避」 負の循環を懸念
28日の金融市場では、質への逃避が鮮明となった。同日午前、日経平均株価は314円安となり、円相場は1ドル97円前半まで円高が進んだ。日本以外のアジア株式市場も下落。商品相場でも原油価格が上昇した一方で、世界経済減速懸念からゴム相場などは下落して始まった。
円相場よりも株価の下落の影響が大きいとの指摘も浮上している。JPモルガン証券・シニアエコノミストの足立正道氏は「ここまでの景気回復は株高による資産効果で消費が好調に推移したためだ。したがって株価下落が最大のリスクとなる。円高進行で輸出企業の収益が下押されれば、株価も下落し、負の循環が起こりやすい」と見ている。
シリアへの軍事介入が行われた場合の金融市場への影響について、足立氏は「これまでの経験では短期間で終わることが多かったとはいえ、イラクへの介入時のように長期化するケースもあり、確定的なことは誰にもわからない」と指摘する。