コナミを辞めた小島秀夫が語るゲームの未来 クリエイターを取り巻く環境は激変した<上>

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――技術進化も目覚ましい。

任天堂の「ファミリーコンピュータ」を遊びながら、いずれはゲームも映画みたいになるだろうなと思っていたのですが、こんなに早く実現するとは思っていませんでした。音声や音楽が入るようになり、ムービーが入り、本当の3DCGになって、今度はVR(バーチャルリアリティ、仮想現実)が実現し、4Kにもなり、ゲーム中でのコミュニケーションもSNSを活用できるようになりました。プラットフォームの進化という次元にとどまらず、ユーザーとの関係や、マーケットのあり方も変化しました。テクノロジーの進化をトリガーにして、世界が縦にも横にも、爆発的に拡大していきました。この過程を経験できたのは、すごく幸運だったと思います。

いまの若い人は少しかわいそう

でも今の若い人にとっては、どうなんでしょう。変化の過程を知らずに、あまりに巨大になったゲーム業界に入ってきた人は、かなり狭いスペシャリストにはなれますが、全体を俯瞰(ふかん)することが難しくなっています。その意味では、少しかわいそうかもしれません。

「会社組織では、そもそも現場でクリエイティブを続けにくい」(撮影:梅谷秀司)

――日本はクリエイターを組織で抱え込みたがりますね。

それは違うと思います。クリエイターを「現場で仕事をする人」と読み替えるとわかりやすいです。どんな会社でも、経験を積むと管理職に回されて現場から離れるでしょう。逆にリーダーになれない人は、現場からも会社からも出されかねない。会社だとそうなってしまう。営業の第一線で活躍していた人も、管理職になり、役員になって経営に回り、仕事の内容は変わってしまう。テレビ局のディレクターや新聞記者もそうですよね。ゲーム会社も同じです。作品が成功すると、課長になり部長になり、役員になる。会社とは、リーダーを育てる機構なので、そもそも現場でクリエイティブを続けにくいのです。僕がこの業界に入った頃は、「現場は30歳まで」と言われていました。「プログラマー30歳限界説」のようなものは今でもありますよね。

でも、フリーランスの映画監督や小説家やマンガ家は、部長になったり役員になったりしません。一生、作品を作ります。ゲーム業界の黎明期には、ゲームを作るなら新卒でゲーム会社の社員になる、というコースが普通だったのです。

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