日本の総合化学業界 事業環境見通しはネガティブも、格付け見通しは安定的 《ムーディーズの業界分析》

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コーポレートファイナンス・グループ
VP−シニアアナリスト小坂 則子

高騰が続くナフサ価格が、収益性を維持する上で引き続き大きな課題である

 エチレンセンターの運営から付加価値製品、特殊化学品、川下製品に亘る多角化された製品ラインを有する日本の総合化学会社は、ナフサ価格およびエネルギーコストの継続的な上昇によって、収益は頭打ちとなっている。現在の価格決定フォーミュラは、ナフサ価格連動方式をとっているが、ナフサ価格の急激な上昇に追いつくのが難しくなっており、石油化学事業の収益性を維持する上で、価格高騰は大きな課題となっている。

世界の予想される新増設能力が、日本のエチレン系誘導品の輸出(現在の国内生産能力の30%に相当)に、どのような影響を与えるかが主要な懸念事項

 オレフィンの生産能力は2008年後半から中東および東南アジアで漸増する。各社は国内エチレン事業の収益確保と中東およびアジアでの成長機会の追及という2つの課題への対策を講じている。国内エチレン生産のコスト競争力の向上と、海外の石油化学品市場での成長機会を成功裏に確保することが、各社の収益とキャッシュフロー、および事業基盤に中期的に差をもたらすであろう。

非石油化学製品分野の収益強化が、今後も汎用化学品の収益変動の緩和と、全体的な収益の安定化および収益性の改善のカギを握る

 石油化学事業の収益変動を緩和し、全体的な収益とキャッシュフローを向上させるには、非石油化学製品分野の収益強化が引き続きカギを握る。日本の総合化学会社の信用力基盤の強みの一つは、多角化された事業ポートフォリオである。したがって、各社がいかに事業ポートフォリオを(中でも非石油化学製品分野を)、効率的に強化していくのかに注目して行きたい。

 格付け対象5社の顕著な違いは、三井化学と東ソーが継続的かつ多額な研究開発費を必要とする製薬事業を手がけていないことである。それに対し他の3社は製薬事業をコア事業の一つと位置づけている。但し、現状において各社の業績を見る限り、製薬事業の有無から収益とキャッシュフローに大きな差が生じている傾向はみられない。
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