“ぶつからない車”、本格普及へ着々 「走る自転車」を検知する自動ブレーキも登場
国産メーカーでは、ステレオカメラもしくはミリ波レーダーのいずれかを使って、衝突を回避するシステムの普及が始まっている。先行したのは、富士重工業(スバル)。「アイサイト」の名称で「レガシィ」「インプレッサ」などにいち早くオプション設定。三菱自動車は、2012年10月に発売したSUV(スポーツ多目的車)の新型「アウトランダー」に自動ブレーキシステムをオプション設定して、スバルに続いた。
さらに直近では、販売台数の多い大衆車クラスでも、こうした自動ブレーキの採用が進みつつある。ダイハツ工業は2012年末に発売した新型「ムーブ」に、軽自動車として初の自動ブレーキを搭載。ホンダは今年9月に投入する最量販車種「フィット」に同様のシステムを導入する。
「交通事故の死傷者数を減らす」という至上命題
自動車メーカーが“ぶつからない車”を目指すのは、交通事故による死傷者を減らすという至上命題が与えられているからだ。そして、自動車業界では先進的な技術や装備はまず、各社の高級車モデルや戦略車にオプション設定され、徐々に採用車種を広げ、必要に応じて標準装備化されていくという鉄則がある。
最初は高いコストも量産効果や技術の進化などによって下がっていくからだ。今ではどんな車種にもほぼ標準搭載されているエアバッグやABS(アンチロック ブレーキシステム)は、最初は高級車のオプション設定が始まり。こうした安全技術がほとんどの量販車で標準装備されるようになったことで、乗車中の死亡事故は着実に減少してきた。日本での自動車乗車中の死亡者数は2001年には3500人超だったが、11年には1500人以下となった。
一方、歩行者や自転車走行中の事故は減少傾向にはあるものの、乗車中事故に比べ減少率が低い。08年以降は歩行中の死亡者数が乗車中のそれを上回っている。自転車事故は交通事故全体の2割以上を占め、そのうち8割が対自動車によるものだ(警察庁24年度統計)。
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