プレミアムフライデーは愚策としか言えない 時間があってもおカネがなければ意味がない
経子:それと、プレミアムフライデーが何の関係があるんですか?
高橋:プレミアムフライデーはミクロの発想で作られた政策なんだ。半径1メートルのことしか考えてないから、失敗する。15時に仕事が終わろうが、残業して20時になろうが、遊ぶ人は遊ぶし、そのまま家に帰る人は帰るだろ。「混んでるからイヤだ」とか言い出す奴もいるし。アイデアを出した人が、「15時に帰れれば遊びに行けるのに」ってタイプだったんじゃないの(笑)。経済学の素人だと思うよ。
わかりやすくてキャッチーだったから
経子:ええ? じゃあ、なんでテレビでは「景気回復の起爆剤!」とか騒いでたの? うちも「その割に売り上げが伸びない」ってわざわざ会議までやってるのに!
高橋:騒いでたのは、ミクロの発想で作られた政策だから、わかりやすくてキャッチーだったからじゃない?
経子:キャッチー?
高橋:テレビで解説してる人気の経済学者も、だいたいミクロの話ばっかりしてるよ。ミクロの話のほうがテレビ的に面白いんだろうね。マクロの話をする学者はほとんどいないしね。
経子:遊ぶ人は遊ぶし、遊ばない人は遊ばないんですよね? でも全員じゃなくても、遊ぶタイプの人がおカネを使えば多少は景気がよくなるんじゃないですか?
高橋:さっきもちょっと言ったけど、ならない。
経子:ええ? どうして?
高橋:可処分所得が限られてるから。
経子:可処分所得って何ですか?
高橋:経子さんは一人暮らし?
経子:一人暮らしですよ。
高橋:給料からは社会保険や税金が引かれてるでしょ。で、手取額になる。簡単に言うとその手取額が可処分所得。個人が自由に処分できる、つまり個人が使うことができるおカネ、って意味。一人暮らしなら、お給料から絶対にかかる生活費と貯金を引いた額がお小遣いでしょ。友達との食事代やらデート代やら……。今日のお勘定もお小遣いだよね?
経子:そうですね。実際にお小遣いで使えるのは毎月3万円ぐらいかなぁ。
高橋:じゃあ、会社の休みが1日増えたとしてお小遣いは増える?
経子:だといいですけど、増えません。
高橋:だよね。確かに早く帰れれば、普段の金曜日には使わない5000円が使うことがあるかもしれない。でも、その分、いつもは土日に使うはずのお小遣いがなくなる。お小遣いの総額は決まってるから、やり繰りするしかないでしょ。
経子:お店側から見ると土日の売り上げが金曜日に回っただけ? そういうこと。
大将:なるほどねぇ……。結局、みんなの収入が増えないと景気は回復しないのかぁ。
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