プレミアムフライデーは愚策としか言えない 時間があってもおカネがなければ意味がない
高橋:プレミアムフライデーで売り上げアップや景気回復を期待しているなら、「期待できない」としか言えない。典型的な、失敗に終わる政策だね。
経子:ええ? でも、マスコミでもたくさん報道されてましたよ?
収入が増えないと消費も増えようがない
高橋:マスコミは、だいたい間違った報道が多いから(笑)。政策自体も素人が考えたんだろうな。大将、プレミアムフライデーで売り上げは増えましたか?
大将:一応、15時過ぎに店を開けたんですけどね、さすがに平日の15時に飲み屋に行こうってお客さんはほとんどいないみたいでサッパリでした。いつもと変わらない週末でしたね。次回の開店時間は普段どおりの18時にするつもりです。
経子:そりゃ、15時から居酒屋に行く人は少ないかもしれないけど……。デパートとか、カフェとかならお客さんが増えるんじゃないですか?
高橋:当日だけ見れば増えるかもしれない。でも、使える金額は限られているんだから、おカネを使うタイミングがずれるだけ。収入が増えないと消費も増えようがないでしょ。だから、全体で見ると増えない。僕から見ると、とてもじゃないけど恥ずかしくて言い出せないぐらい、バカげた政策だよ。僕じゃなくても、マクロの学者も、おかしくて仕方ないだろうな。
経子:マグロ?
大将:マグロならカマの煮つけがあるけど、経子ちゃん食べる?
経子:食べる……。
高橋:ははは。マグロじゃなくて、マクロ。マクロ経済学のこと。
経子:マクロ経済学、って何ですか?
高橋:経済学にはミクロ経済学とマクロ経済学の2つがあるんだ。簡単に言うと、個人や1つの商品・会社・業界など、個別の案件の経済について考えるのがミクロ経済学。自分の半径1メートルっていうイメージ。そして、社会全体の経済活動を考えるのがマクロ経済学。モノの見方というか、立ち位置というか、そういうものが違うんだ。
経子:半径1メートルと、全体の違いがイメージできない……。
高橋:「努力は報われる」ってよく言うでしょ。ミクロで考えればすごくいい言葉だし、努力しようという気になる。でもマクロで考えると「努力は報われない」と言える。
経子:うーん?
高橋:たとえば大学受験で考えてみようか。個人は「努力は報われる」と信じて、勉強する。確かに努力しないと受からないんだから、個人ベースで考えると「努力は報われる」は真実。
でも、全員が努力したらどうなると思う? 定員が決まってるんだから、全員が合格することなんてありえない。だから、マクロ的に考えると「努力は報われない」となるんだよ。
「一所懸命、勉強すればいい大学に入れる」っていうのは、自分だけが一所懸命で、他の奴は勉強しないっていう前提じゃないと成り立たない。個人の動きと全体の動きは、いつもイコールとは限らない。個人の行動と全体の動きは違うから、経済学では分けているんだ。
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