外国人を呼ぶのは「カネのため」と割り切ろう 「鎖国」のままでは地方から崩壊する

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アジアからの訪日客のうち、「観光目的」でやってくる人は76.6%に上りますが、アジア以外の国から「観光目的」でやってくる訪日外国人は53.0%にとどまっています。また、アジアからやってくる訪日外国人のうち女性の比率は54.2%となっていますが、アジア以外になると33.0%にとどまっています。

これらのデータから導き出される答えはひとつしかありません。それは、アジア以外から来ている訪日外国人は、「ビジネス目的」が多いということです。

これは裏を返せば、アジア以外からの「観光目的」の外国人は、まだまだ大きな「伸び代」があるということです。

しかも、そこが伸びるということは、日本にとっても非常に大きな「効果」が期待できるということです。アジアの「観光目的」の訪日外国人の平均滞在期間が5.2日なのに比べて、アジア以外の「観光目的」の訪日外国人は11.6日と2倍以上長く滞在するのです。そうなると、日本に落とすおカネも増えていくのは当然です。

アジアから「観光目的」で来た訪日外国人の平均支出額が14万6968円なのに対し、アジア以外から「観光目的」できた訪日外国人の平均支出額が21万3751円ということをふまえても、この層が伸びることで、観光収入的には非常に大きな成長が期待できるのです。

客単価を上げるための「高級ホテル」と「自然観光」

ただ、アジア以外の「観光目的」の訪日外国人を大きく増やすことができても、それだけでは先ほど紹介した8兆円、1人あたり20万円という政府目標は達成できません

そこで必要になってくるのが、本連載でこれまでふれてきた「高級ホテル」「自然観光」の整備です。

「高級ホテル」が客単価を上げるのは言うまでもありませんが、「自然観光」も大自然の中に身を置くので、滞在期間を延ばすことができます。つまり、「自然観光」は自然を整備する費用を捻出するという社会メリットがあるだけではなく、客単価を引き上げるというビジネス上のメリットもある、非常に「効果」の高い観光戦略なのです。

日本の「観光客1人あたり支出額」は現在、世界で第46位となっています。タイの第26位、アメリカの第6位、インドの第7位、中国の第13位と比較すると、「低い」ということは一目瞭然ですが、これは非常に大きな「伸び代」が期待できるということです。

これまで日本社会は、日本人がつくった日本人のためのルールで、日本人だけが快適に暮らせる社会でした。もちろん、そうありたいと思うのはどの国の人々も同じですが、それを許さない厳しい現実があります。日本はこれまでそのような現実とは無縁でしたが、子供の減少と高齢者の増加によって、いよいよ「開国」を余儀なくされてきたということなのです。

外国人による「国際観光収入」によって地方のマイナスをカバーするというのは、世界的な常識です。インバウンドで地方都市がよみがえり、雇用にもつながったというケースは枚挙にいとまがありません。

「外国人観光客など来ても迷惑だ」と主張する方たちは、私に言わせれば、まだ危機的状況に追いやられていない「恵まれた方たち」です。東京や大阪にいると、なかなかインバウンドの重要さは実感できないでしょうが、せめて確実に迫ってきている「危機」に気づいていただきたいと思います。

日本の明るい未来を築くため、ひとりでも多くの方が「観光」がもつポテンシャルの高さと、それを生かす道しかないということに目覚めていただきたい、と心から願っています。

デービッド・アトキンソン 小西美術工藝社社長

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David Atkinson

元ゴールドマン・サックスアナリスト。裏千家茶名「宗真」拝受。1965年イギリス生まれ。オックスフォード大学「日本学」専攻。1992年にゴールドマン・サックス入社。日本の不良債権の実態を暴くリポートを発表し注目を浴びる。1998年に同社managing director(取締役)、2006年にpartner(共同出資者)となるが、マネーゲームを達観するに至り、2007年に退社。1999年に裏千家入門、2006年茶名「宗真」を拝受。2009年、創立300年余りの国宝・重要文化財の補修を手がける小西美術工藝社入社、取締役就任。2010年代表取締役会長、2011年同会長兼社長に就任し、日本の伝統文化を守りつつ伝統文化財をめぐる行政や業界の改革への提言を続けている。

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