地雷原を肥沃な畑に--死も覚悟する男の夢

地雷原を肥沃な畑に--死も覚悟する男の夢

広大な地雷原が、わずか6年余りで肥沃な農地へ大変身--。そんな夢のような話を現実にした国がある。中央アメリカの中部に位置するニカラグア共和国だ。

ニカラグアでは、1979年から10年にわたる内戦があり、その間に埋められた14万個超の対人地雷に苦しめられていた。地雷の寿命は50年以上といわれており、内戦が終結した後もひっそりと土の中で生き続けている。そして、触れた者の手足、時には命までも容赦なく奪うのだ。ニカラグア国民は内戦が終わったにもかかわらず、つねに“負の遺産”におびえながら生活していた。

ところが、2001年を境に、ニカラグアの地雷の数が急減した。2台の地雷除去機が導入され、地雷の処理作業が急速に進んだからだ。現在までにニカラグアの9割超の地雷が除去されている。ある地域では、跡地でオレンジの栽培を開始。今では年間60万ケースを出荷し、150万ドルを輸出で稼ぎ出す一大生産地に再生している。青々と生い茂るオレンジ畑の風景には、かつて地雷原だった面影はない。

 この地雷除去機を開発したのは、山梨県南アルプス市にある従業員70人余りの小さな会社、山梨日立建機の社長・雨宮清だ。

地雷の知識はゼロ 休日も開発に没頭

雨宮の開発した地雷除去機はどういった製品なのか。

これまでの地雷の除去作業は、人の手で行われており、大変な労力と時間がかかっていた。土の中にある地雷は、肉眼では発見しにくいため、まず金属探知機を使って位置を特定する。それから、ハケで丁寧に地雷を露出させた後、信管を抜くなどして取り除くというのが一連の作業だ。少しのミスが爆発を引き起こす危険性があるため、作業員は一瞬足りとも気が抜けない。まさに命懸けの作業である。

雨宮の開発した地雷除去機はこれらの問題を一気に解決した。地雷除去機のベースは、建設機械の代表選手である油圧ショベルだ。作業をするアームの先に、耐爆性のあるドラム式のカッターを装着している。地雷を処理する際には、カッターが回転して地雷を巻き込み、その場で爆発させるという仕組み。作業員は防弾・防音ガラスに守られた運転席で操縦するので安全性が確保されている。処理できる量も人の手の10~20倍と飛躍的に向上するのだ。

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