日本人は欧州産チーズを真に楽しめていない EPA合意で関税撤廃の一方、複雑な問題も

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サラミやオードブル用のパテなどこだわりのフランス食材を販売する店が軒を連ねる(筆者撮影)

まるで芸術品のように美しいチーズの数々

豊富な種類が並ぶチーズの専門店(筆者撮影)

さらには、じっくりとスモークしたものやローズマリーやタイムなどのハーブで香りづけしたもの、ワイン用のブドウカスや灰と共に熟成されたもの、藁に包まれたもの、ドライフルーツが練り込まれているもの――などなど、まるで芸術品のように美しいチーズの数々に、目が奪われる。それぞれのチーズをその場で切り分けてもらい、じっくりと試食してから購入できるスタイルも、乳製品大国ヨーロッパならではだ。

目にも鮮やかな宝石のようなチーズがずらりと並ぶ。ハーブを練り込んだものや、スモークしたものが人気だ(筆者撮影)
あこがれのチーズ専門店で働くフロリアンさん。大阪への留学経験がある(筆者撮影)

そんな夢のようなチーズ専門店で出会ったのは、フロリアン・ブランチェさん(26)。日本文化に興味があり、大阪へ留学した経験もあるというフロリアンさんが来日した当初、最も驚いたのは、ほかでもない大好きなチーズの値段の高さと種類の乏しさだという。

「日本のチーズは正直、価格が高すぎて本当に驚きました。大好物ですが、なかなか買うことはできなくて……クリスマスにはフランスのお母さんからわざわざフレッシュチーズを送ってもらったくらいです」 

実は、欧米から来日した人々の間では、日本のチーズに関して極めて残念な気持ちを抱くケースは少なくない。インターネット上には、「日本に来てがっかりしたことの1つ、それはチーズ」「なんでこんなに高いんだ……しかも、おいしくない」など、日本のチーズ事情への不満を吐露する書き込みが山ほど見つかる。

次ページ現在、原則として29.8%の関税がかけられている
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