動揺するアジア新興国通貨 韓国ウォンと台湾ドルは底堅い
[シンガポール 23日 ロイター] - 米緩和策縮小が近付いているとの見方から市場が動揺する中、アジア新興国市場を専門とする投資家らは、韓国ウォンや台湾ドルは東南アジアの各国通貨に比べ堅調に推移するとみている。
韓国や台湾は財政・経常収支の状況が優位であることに加え、ハイテク製品の輸出に強みを持っていることから、商品・原材料輸出への依存度合いが大きな東南アジア諸国よりも世界的な景気減速、特に中国景気の減速に対する耐性が強いためだ。
実際、台湾ドルと韓国ウォンは、米連邦準備理事会(FRB)が年内の緩和策縮小の可能性を示した5月22日以降で、対ドルの下落幅は1%未満にとどまっている。
対照的に、インドネシアルピアは同日以降で10%下落。マレーシアリンギは9%下落、タイバーツは7%下落している。
ウエストパックのシニアFXストラテジスト、ジョナサン・ケーブナー氏は「ウォンと台湾ドルは現時点で比較的安全に見える」と指摘。資金の流れは東南アジアから北東アジアに向かっていると付け加えた。
当局の統計データも同じような傾向を示している。
台湾では7月の資金流入額が28億米ドルとなり、前月の資金流出額30億米ドルの大半を取り返した。外国人投資家は8月に入り、台湾株を幾分売却しているが、大幅な売りとはなっていない。
韓国株式市場では、外国人投資家からの資金流入額が7月に12億ドルとなり、8月1─21日でも6億5400万ドルの流入となっている。しかも、7月のデータは韓国総合株価指数(KOSPI)とコスダック指数(KOSDAQ)<.KQ11>に関する額となっているものの、8月のデータはKOSPIに関する額のみ。完全に比較可能なデータは9月上旬に公表される予定だ。
韓国債券市場に対する外国人投資家からの投資は7月に6カ月連続で拡大した。
対照的にインドネシアやマレーシア、タイでは、7月と8月も資金流出超となった。
インドネシア株式市場<.JKSE>では、7月から8月21日までに外国人投資家が5億8100万ドルの資金を引き揚げた。ただ、6月末以降で債券保有は3億7100万ドル積み増した。
同期間を見ると、外国人投資家はマレーシア株<.KLSE>を11億ドル売却、タイ株<.SETI>を9億5500万ドル売却した。
また、タイ債券市場協会のデータによると、7月から8月16日までの資金流出額は7億4800万ドルに上った。