JALとANA、熱帯びる「ベトナムの空」争奪戦 急成長「ビキニLCC」がJALとタッグを組んだ

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ベトジェットは2011年、ベトナム初の民間航空会社としてハノイを拠点に国内線の運航を開始。現在は国内、国際合わせて63路線を持つ。国内線シェアは40%超にまで拡大し、ベトナム航空を超えたとの現地報道もある。搭乗率も2013年以降、一貫して88%超という高水準を維持している。

勢いに乗ったベトジェットは今年2月、ホーチミン証券取引所に株式上場した。上場初日はストップ高となり、わずか1週間後には時価総額でベトナム航空を超えた。

ビキニ姿のパフォーマンスが話題に

同社が大きく注目を集めるきっかけとなったのが、ビキニ姿の客室乗務員による機内での派手なパフォーマンスだ。赤を基調とした機体やカジュアルな制服とともに、賛否両論が噴出しながらも話題を集めた。「ビキニエアライン」との異名もついたほどだ。

ビキニ姿の客室乗務員による機内パフォーマンスの様子

こうした急成長の立役者が、創業者のグエン・ティ・フオン・タオCEO。米フォーブス誌の「アジアで影響力のある女性50人」や「世界で最も影響力のある女性100人」に選ばれている、注目の女性経営者だ。ロシア留学時代にアジアから仕入れた消費財の販売で財を成し、ベトナムで夫と複合企業を設立後、ベトジェットを立ち上げた。

そんなベトジェットでも実現できていないのが、日本路線の就航だ。関空や成田、茨城や北九州などへのチャーター便の実績はあるが、定期便はいまだ飛ばせていない。来年、関空に乗り入れるともうわさされている。

ANA・ベトナム航空連合は、日本とベトナム間の路線規模が大きい。ANAが1日3便、ベトナム航空が1日11便を運航している。ANAと同じく1日3便を運航するJALとしても、コードシェア便で規模を拡大したいところだろう。

東南アジアの他国と同様、ベトナムの空は混戦模様だ。日越大手が組んだ2つの連合のどちらに、軍配が上がるのだろうか。

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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