元中日・谷繁が語る、「本当の結果」を出す方法 「繰り返し成果を挙げる」ためには何が必要か

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「プロの世界では結果がすべてだ」とよく言われます。ですが、僕はプロセスのほうが大事だと思っています。

そして、「偶然生まれたよい結果」よりも「根拠ありきで考えた末の失敗」のほうが次につながると信じています。結果がよかったからそれでいいという考え方では、次の勝利にはつながりません。

プロセスを把握していれば、同じ「結果」を出せる

「プロセスを知る」ことは、「結果の出し方を知る」ということ。プロセスありきの結果であれば同じ結果をまた出すことができますが、ラッキーで生まれた結果をもう一度繰り返すのは難しいものです。

それが、連勝・連覇するチームと、一度勝っても勝ち続けられないチームの差です。勝利の根拠となるプロセスがないと、勝ちは続かないのです。とっさの勘が働いて「結果オーライ」となることもあるでしょう。では、どうしてとっさの勘が働くのでしょうか。

それは、無意識にきちんと根拠を持っているからです。根拠もなく、ただの勘だけを頼りに試合に出るのは、プロが絶対にやってはいけないことです。

一般企業でも、根拠がないのに「これは絶対売れますよ」と言っても取引先には見向きもされません。きちんとしたデータを示して、「こういう理由があるからこれは売れます」と説明して初めて、ビジネスとしての会話が成り立ちます。それとまったく同じ話です。

お伝えしたように、「なぜそうしたのか」という根拠を示せるのであれば、ミスがあったとしても僕は構わないと思っています。

たとえば、内野手がポジショニングでミスをしたとします。その時、「自分にはこういう根拠(データ)があって、なおかつこの場面でキャッチャーがこのサインを出してピッチャーがこの球を投げたから、それを踏まえてその場所にいました」と説明できるのなら、打球がほかのところに飛んでいって捕れなくても、それは仕方がないということです。

特にプロの世界では、どうしても結果、結果で、プロセスが軽視されてしまいます。指導者も結果だけを見てプロセスを評価しようとしません。プロセスをきちんと評価しないと、やっている選手も継続が難しくなります。

筆者の近著『谷繁流 キャッチャー思考』(上の書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

1990年代初頭のことです。横浜ベイスターズの抑え投手で、絶対的「守護神」だった佐々木主浩さんの信頼を得ようとした時、僕が毎日のように練習している姿を評価してくれたピッチャーがいました。

当時、バッテリーコーチを務めていた大矢明彦さんも、これでもかというくらい練習につきあってくれました。

それが僕のモチベーションになり、まわりからの信頼へとつながって、試合でも結果を出すことができました。反復練習の中では自分なりの根拠も見つけることができたし、独自の理論を構築するステップも踏めていたと思います。

プロセスがどれほど大事かということを、僕は実体験をもって理解しているのです。

谷繁 元信 野球評論家

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たにしげ もとのぶ / Motonobu Tanishige

1970年生まれ。広島県出身。島根県・江の川高校(現・石見智翠館)3年次に、県記録となる地方予選7試合連続本塁打を放つ。1988年にドラフト1位で横浜大洋ホエールズに入団。1998年にはベストナイン、ゴールデングラブ賞、最優秀バッテリー賞を獲得しチームの日本一に大きく貢献。2002年より中日ドラゴンズに移籍し、2006年にはWBC日本代表に選出される。2014年シーズンから選手兼監督になり、2015年シーズンをもって現役引退を表明。通算3021試合出場、27シーズン連続安打、同本塁打を達成(いずれもNPB歴代最高)。ゴールデングラブ賞を6回、最優秀バッテリー賞を4回受賞。2016年に中日ドラゴンズを退任し、各種メディアにて評論活動を行っている。

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