その後、米メディアのインタビューで、彼女は「ロシア政府とは関係ない」と答えているが、真相ははっきりしない。わかっているのは、彼女は米ロ間で問題になっている養子縁組についてロビー活動をしていることだ。トランプタワーでの会合では、ヒラリー・クリントン候補に関する話はなく、すぐに養子縁組問題に話題が移ったという。
これについては、ジュニア氏に「ロシア政府の弁護士」として、面会の仲介を申し出たゴールドストーン氏が話を膨らませたか、あるいはでっち上げた可能性もある。
トランプ陣営に「共謀」の意図はあったか
昨年6月9日の会合には、もっと怪しげな人物も同席した。ロシア系アメリカ人のロビイストとされるリナット・アフメトシン氏である。NBCテレビによると、ロシア情報機関に属する二重国籍の人物という。
アフメトシン氏は、女性弁護士のヴェセルニツカヤ氏と、養子縁組問題のロビー活動をしてきた関係で同席したらしい。彼がロシア政府と関係しているかどうかについて、米当局は疑っているが、そのことをジュニア氏は知るよしもない。
それはともかく、昨年6月9日のトランプタワーでの会合には、少なくとも8人が同席した。トランプ陣営側はジュニア氏、義兄弟のジャレッド・クシュナー氏、選対委員長(当時)のポール・マナフォート氏の3人。ロシア側はゴールドストーン氏、ヴェセルニツカヤ弁護士、アフメトシン氏の3人。プラス通訳が1人、もう1人はアフメトシン氏の知り合いで、ヴェセルニツカヤ弁護士とも知人らしい人物とされる。
その会合が持たれた時期は、まさに大統領選でトランプ候補が共和党の本選候補に決まる時期であり、民主党のクリントン候補に勝つために、相手にとってネガティブな情報を得ようと躍起になっていた時期だ。
そんな時期に、こうしたトランプ陣営とロシア側との会合は、ロシアゲート疑惑に一石を投じることになったことは間違いない。問題は、その会合そのものが罪に問われるかどうか、さらに、共謀に当たるかどうか。ジュニア氏の公開メールについては、トランプ陣営に共謀の意図があった証拠と疑われている。
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