米長期金利上昇は続かず、ドル安円高へ進む JPモルガン・チェース銀の佐々木融氏に聞く
――7月25~26日のFOMC(米国連邦公開市場委員会)では、米国内の経済や海外の動きについての見方に変化が出てくると思いますか。
今までと特に変わるところはないだろう。世界経済も安定して動いている。ただ一段とインフレ率が上がらないことに警戒感が示される可能性はある。賃金が一向に上がってこない。
構造的な変化が大きくインフレ率が高まらない
――FRBは6月のFOMCで失業率の見通しを下げてきました。失業率がここまで下がって、賃金が上がらないのは、完全雇用ではないということでしょうか。日本でも同じ現象が起きていますが。
構造変化のほうが大きいのだろう。ベービーブーマー(団塊の世代)がどんどん退職していく中で、労働人口が高齢者から若者へと替わっていき、全体の平均賃金が下がっていく。またパートタイムが増えていることも賃金を上がりにくくしているといえる。
経済の観点からすると、IT革命の影響が大きいのではないか。ITによって情報が広く行き渡って効率化が進んでいる状態にある。たとえば米国ではアマゾンがホールフーズ・マーケットを買収し、ウォルマートが警戒している。アマゾンは生鮮食品の安売りもしている。こうした動きを見ていると物価が上がるわけがないとさえ思う。日本でも、かつてはわざわざ店まで出向いて高いものを買っていたが、今ではネットで安いところを選んでクリックするだけで買い物ができるから、小売りは値下げするしかなくなってきている。中国でもITの活用で物流のコストが大幅に下がりつつある。効率化が進めば、コストは下がり賃金も上がらない。
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