日本人の「住まい」は5年後から大激変する 高嶺の花だった不動産が一気に身近に

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──宅地価格に波及する?

5年待ったら郊外の不動産は軒並み安くなる。40〜50坪の敷地で建ててきたが、みな値下がりする。逆に複数区画を一緒に買えば、100坪や200坪大の田園住宅が建てられる。そこに自分好みの家を建てて、平日は都心のマンションで働き、休日は100坪なり200坪の田園住宅でバーベキューパーティを開いて過ごす。そんな生活もすぐ目の前だ。

この「マイホーム価値革命」は、ライフスタイルが大幅に変わり実にいいことだ。自分の半生をかけ稼いだおカネをもっぱら債務返済で使っていく、束縛された人生から解放される。

マイホームの価値が大きく転換する

牧野知弘(まきの ともひろ)/1959年生まれ。東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行、ボストンコンサルティングを経て三井不動産入社。不動産買収、開発、証券化を手掛ける。投資法人執行役員を務めた後、2015年オラガ総研設立。不動産アドバイザリー業務を行う(撮影:梅谷秀司)

──日本人は住宅好きです。

とりわけ家を持つことにこだわりがあって、賃貸住宅で家賃を払うのはもったいないという観念が強い。衣・食・住は生活の基礎だが、衣・食は消費ととらえるものの、住となったら投資の概念になる。自分のマンションの値段の上下をとかく気にする。まるで株価ボードのように、ネット上で自宅の時価を即座に表示するWebページが登場するぐらい、関心が高い。

そういった日本人が盲目的に信じてきたマイホームの価値が大きく転換する。地価がおしなべて右肩上がりという時代は遠い昔に去った。また地価が上がりいずれ儲かると考える人が多いが、もはや実態は違う。家は資産であると考えていたら、それは妄想にとらわれている。家を買うべきかどうかとか、持ち家か賃貸かとかの議論ではなく、どういう持ち方をするかが、本来の問題なのだ。

──本来の問題?

本来、家に住む行為は消費なのだとの理解が基本にある。住むためのコストの支払いなのは賃貸の家賃ではっきりする。「家は持つものだ」を是とするならば、多額のおカネを出しての購入なのだから投資だときちんと考える。考え方の整理をすることだ。

同じ住宅を買うにしても、自分と家族が住むだけならあくまでも消費だ。店舗兼用で不動産としてフルに活用するなら、単なる消費ではなく投資の部分もあるから、リターンをどう狙うか、じっくり考える。古民家を民泊で活用しようとかもくろんでいる人もいる。いろいろ組み合わせることで運用収益を上げようとするなら、もはや事業、立派な投資となる。

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