「噴水」の奥深さをどれだけ知っていますか そもそもは権力を誇示する存在だった

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21. 16世紀に造られたこの別荘は修道院だった建物を改築。4.5haの広大な庭園を500以上もの噴水が彩る

オルガンの噴水(写真:marcorstock / PIXTA)

22. なかでも最高傑作といわれるのが「オルガンの噴水」で、かつては水力を利用しオルガンを奏でていた

23. また滝の裏側を通り抜けできる「楕円の噴水」は宴を催した際に〈涼み場〉として活用されたのだという

24. 16世紀に発達したイタリア式庭園の技術は各国に伝わり、17世紀のフランスでさらなる発展を遂げる

25. 17世紀後半、天才造園家アンドレ・ル・ノートルが登場しフランス独自の幾何学式庭園が誕生するのである

26. フランス式庭園はイタリア式に比べて規模が大きく、構成美に際立った優雅で端正なデザインが特長だった

27. アンドレ・ル・ノートルが最初に手掛けたのはルイ14世の財務卿を務めたニコラス・フーケの居城だった

28. ルイ14世は当時、パリの南に建てられたフーケの居城の庭園と一体化した美しさにひどく嫉妬したという

29. そしてフーケ失脚後、ルイ14世はアンドレ・ル・ノートルにヴェルサイユ宮殿の造園を命じるのである

30. 1661年に王の命を受けてから約40年をかけて完成したヴェルサイユの庭はフランス式庭園の最高傑作

噴水から水が出たのは王が通るときだけ

31. その目玉が、セーヌ河を水源とした「グランカナル(大運河)」と呼ばれる全長35kmの十字型の人工池だ

32. 池の各所には噴水が設けられているが、水なき地に水を引くことで国王の力を示し貴族を従わせたという

33. しかし当時は水量が足りず、噴水から水が出たのは王が通るときだけだったともいわれている

34. 人工的なフランス庭園に対し、18世紀には自然の景観美を追求したイギリス式風景庭園が発展していく

35. 欧州ではこれらの西洋式庭園から噴水技術が広がっていくが、遠く離れた日本は独自の噴水の歴史を歩む

36. 奈良県にある飛鳥時代の石神遺跡では水位差を利用して水を噴出したと推測される遺物が発掘されている

37. 石神遺跡から発掘されたのは古代インドの聖なる山・須弥山(しゅみせん)像とみられる石造物と石人像

38. 石人像は杯を持った異国人の風貌をした男女の老人像で、百済からの渡来人の技術で制作されたと思われる

39. しかしその後、日本では人工的な噴水は発達せず、現在日本最古といわれるのは石川「兼六園」の噴水である

40. これは1861年に加賀藩第12代藩主・前田斉泰が、金沢城内の二の丸に水を引くために試作させたもの

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