しかし、券面表示事項が不鮮明となったとしても、駅係員が目視で券面表示事項を確認する場面は極めて少ない。券面表示事項が不鮮明になっても必ずしも指摘されるわけでもない。機械を通じたデータ確認で定期券が有効かどうかを確認することがほとんどである。券面表示事項が変わらず要求されるにしても、券面表示事項は従前の定期券と比べてその位置づけに変化があることは明らかである。
紙の定期券であれば、定期券の券面表示事項の提示を受けて確認する以外、定期券の正当な権利者であるかどうか確認する方法はなかった。他方、ICカード定期券は、定期券の券面表示事項を目視せずとも別の方法で確認することができる。紙の定期券を発行する場合には回収しないと同じような定期券が複数存在する危険があるが、ICカード定期券は一方の定期券を停止させることで同じ定期券が重複して存在することを安全に回避できる。
ICカード定期の「即日再発行」実現を
このことからすると、定期券の内容を券面で確認できなくても別の方法により確認して安全に再発行できるならば、「再発行手続きの翌日に再発行」などと言わず、即日利用させるという対応をできるのではないだろうか。
定期券を再発行してもらえる立場にありながら、手続き日の片道もしくは往復は使えない、というのは何ともつらい。再発行をしてくれる前提ならば、その日購入した乗車券については後で払い戻すなどの方法があってもよかろう。近距離の定期券であればまあ仕方ないと言える運賃で済むが、そうも言えない長距離の定期利用者もいる。
しかも、JR東日本のモバイルSuica会員規約第10条(紛失、故障等に伴う再発行)では、定期券として使用している場合の端末を紛失した際の再発行について、端末の使用停止措置が完了していることを確認したのちに、「再発行受付当日以降」に再発行をするという扱いをすることになっている(同条3項)。ICカードの貸与の有無などの差はあるものの、データで権利の有無を確認するということではICカード定期券もモバイル定期券も同じ性質を有している。
無限の可能性を秘めているICカード乗車券だからこそ、不可能を可能にしていってほしいものである。
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