Suica定期券の「紛失再発行」は面倒だった

実は印字が消えた場合も再発行が必要

運送を求める権利と乗車券との関係の原則を今一度見てみよう。

運送を求める権利は乗車券と結びついている。したがって、乗客は乗車券を持参しなければ列車に乗車することはできない(鉄道営業法第15条第1項、JR東日本旅客営業規則第13条も同趣旨)。

当然、これは定期乗車券(定期券)にも当てはまる。有効な定期券を購入していたとしても持参しなければ列車には乗れない。かつては、定期券を紛失しようものなら改めて定期券を購入するほかなかった。定期券紛失の経済的打撃はとてつもなく大きかった。

しかし、ICカード定期券では、デポジットの保証金とカード発行手数料の合計1010円を支払うだけで、紛失した定期券と同じ内容の定期券を再度取得することができる。買いたての定期券を落としたときの焦燥感、紛失した時の絶望感から解放してくれる画期的な定期券である。

データで読み取れても券面表示は不可欠?

ICカード定期券の内容の把握の仕方はこれまでの紙の定期券とは異なる。紙の定期券の時代、駅係員や乗務員は、乗客から提示された定期券の券面表示事項を目視で確認することにより、定期券に表示された権利の内容や定期券の有効性を確認していた。鉄道運輸規程第12条にも乗車券に記載すべき事項が定められている。

一方、ICカード定期券の場合、駅係員や乗務員が定期券の券面表示事項を目視で確認することはほとんどない。機械的なことに私は詳しくないが、改札機等に備え付けられたリーダ・ライタとICカード定期券との間の情報のやりとりを通じて定期券の有効性を判断している。通常はもはや券面表示事項は必要不可欠なものではないようにも思われる。

もっとも、JR東日本旅客営業規則第168条第1項第2号では「券面表示事項が不明となった定期乗車券」を使おうとすると、その定期券は無効なものとして回収されることになっており、ICカード定期券も同様である。

また、ICカード乗車券規則によれば、定期券を含む記名Suicaの券面表示事項が不明となったときはICカード乗車券として使用できないこと、その場合当該記名Suicaを発売する駅に差し出して、券面表示事項の再印字を請求することができるとされている(第24条第11項)。実態はともかく、規定上はICカード定期券であっても券面表示事項はいまも重要なものとされていることになる。

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