これを踏まえれば、今回の都議選の結果は、小池百合子東京都知事が進めたい都政を加速させることになるだろう。しかも、その政策、特に東京五輪、待機児童対策、医療・介護といった予算規模が大きい政策は、むしろ自民党も賛成しそうなものだから、なおさらである。
翻って、国政への影響はどうか。
小池都知事は都議選後に、国政への関与を微妙ににじませている。ただ、都政と国政は、政策決定過程が違う。都政は二元代表制で、都知事も都議会議員もそれぞれ有権者から直接選挙で選ばれた存在だ。特に日本の地方自治での二元代表制は、首長優位の構造となっており、都政では直接選挙で選ばれた都知事が優位を持って政策を実施できる。
他方、国政は議院内閣制である。通常、衆議院の第1党の党首(または党首が支持する人物)が内閣総理大臣となり、内閣を組織して政策を実施する。都知事には主要政党の強い支持がなくても選挙で当選すればなれるが、内閣総理大臣は第1党の党首がなるのが基本だ。主要政党内で支持を集められなければ、国政は司れない。その意味で国政選挙は、都議選よりも政党の位置づけが重いといえる。
国政での新機軸はありうるか
この観点からみれば、今の国政で第1党である自民党の政策方針と大きく異なるものを打ち出せなければ、都議選の結果は国政に大きく影響することはない。もちろん、国会での議事運営などへの影響は否定しないが、国政の主要部分である財政への影響に焦点を当てればそうである。
都議選の結果、都政における小池都知事の影響力は強まった。それを踏まえて、国政に都知事として影響力を行使するということはありえても、政党政治を通じて、国政、特に財政運営における主要な政策に大きな差異は見いだしにくいのが実情だ。
一般論として、安倍晋三内閣や自民党の政策スタンスと大きく異なる政策機軸を打ち出せなければ、今の自民党政治と似たようなものとして、他の政党は埋没する。では、異なる機軸はありえるか。
とりわけ、財政運営に焦点を絞れば、2つほどありえるだろう。1つ目は社会保障のあり方、2つ目は地域間格差(都市と農村)への対応である。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら