安倍政権とトランプ政権は「民主主義」を潰す その権威主義的手法は驚くほど似ている

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メディアについても同じで、主要閣僚らが東京都議選の街頭演説で気に入らないメディアを「マスコミは責任を取らない」「かなりの部分間違っている」(麻生太郎副総理兼財務相)、「新聞を買ってもらっていることを忘れるな」(二階俊博自民党幹事長)などと情緒的に批判する言動は、権力を笠に着た愚かな行為である。連日、ツイッターで「FAKE NEWS!!」と自らに批判的なメディアを攻撃し続けるトランプ大統領と何ら変わるところはない。

安倍政権のこうした言動の背景にあるのは一種の「権威主義的傾向」であろう。権威主義とは特定の政治家などの権威に個人や社会組織が服従する体制を指す。自由・平等という概念が当然と考えられる近代民主主義社会では、成立しにくいと考えられているが、安倍政権には自民党国会議員や官僚機構、さらにはメディアなどに暗黙の「服従」を求めているような雰囲気がある。

「国権の最高機関」である国会も官邸の従属機関に

まず官僚組織であるが、内閣官房に設けられた内閣人事局が中央省庁の「幹部職員人事の一元管理」の権限を有したことで、首相官邸の官僚統制は著しく強化された。官僚組織は不利な人事を回避するため、日常的に「首相のご意向」に細心の注意を注ぐ。その結果、本来有すべき中立性や専門性が軽視され始めている。

憲法に「国権の最高機関」と規定されている国会の機能不全も著しい。憲法上、すべての職権行使について内閣は国会に責任を負うとされている。したがって、国会は法案の審議とその可否の決定のみならず、首相や閣僚に失政があれば、日常の質疑を通じてその政治責任を追及する場でもある。

ところが通常国会を見るかぎり、会期延長の有無、委員会の開催、採決の日程など主要な国会運営は事実上、首相官邸の意向に支配されていた。首相を筆頭に内閣が不都合な状況にさらされることを回避するため、審議せず、採決を強行し、会期は延長せず、閉会中審査も臨時国会も拒否した。つまり、「国権の最高機関」が官邸の従属機関に貶(おとし)められたのである。

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