マニタ書房と、とみさわさんの長年にわたるコレクションについて描いた単行本『無限の本棚』(アスペクト刊)も話題になった。
ライター仕事をしているとどうしても資料で大量の書籍を読む。ちょっとでも気になる本は新刊で遠慮せずに買ってきて、読み終わった本は、マニタ書房に並べて売ってしまえるので便利がいい。
マニタ書房も、珍本を好きな常連さんも増えて、徐々に売り上げは伸びている。初期は店の赤字が妻の保険金を食い潰していたが、それは止まった。古書店の売り上げで家賃を払えるところまでは稼げるようになった。
「家賃が払えれば、取りあえずOKだと最初に決めていたんです。フリーライターとして、ただで神保町の一等地に事務所を持っているということになりますから。それって悪くないですよね?」
マニタ書房はとみさわさんの存在価値を高めている
マニタ書房は、とみさわさんが取材などで来店できない日は、閉店してしまう。人を雇おうとは思っていない。お客さんの中には、とみさわさんに会いに来る人も多いのだから、自分は絶対に店内にいたほうがいいだろう、と思うからだ。
とみさわさんがライターの仕事を頑張れば、なんとか続けていける「マニタ書房」だが、でもしかし、決して趣味の店ではない。「マニタ書房」は、とみさわさんの存在価値を高めているし、ライターとしての仕事を呼び込む役割もしている。
今年で開店から5年、フリーライターとみさわ昭仁と「マニタ書房」の関係は渾然一体とした、切っても切れない間柄になっているんだな、と感じた。何より、50代ですでに老後の夢をかなえてしまった、とみさわさんがうらやましかった。
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