私は資料作成の本を何冊か出版させていただいているので、そのテーマの著者仲間がいます。彼らとの会話の中で、最近「過剰な演出モリモリの資料って、昭和度が高いイメージだよね」ということを話しています。個人として昭和という時代によくないイメージを持っているわけではありませんが、過剰演出はいまや時代遅れな印象を持たれることは否めませんし、無駄なことをしている生産性が低い人だと思われるリスクがあります。
今の資料に求められているものはシンプルで理解しやすく、それでいながら強いメッセージ性がある資料です。ある企業での生産性の講演でこのお話をした際には「よくぞ言ってくれました。うちの会社は凝った資料を作る人が優秀と思われる節があり、みんな過剰品質がやめられないんです!」と経営者の方から握手を求められたこともありました。みんな薄々感じているもののやめるのが難しいのだと再認識しました。
“昭和度”が高い資料「4つの特徴」
ではまずはどこから資料の品質を最適にするか。それを知っていただくために、昭和度の高い資料の特徴をご紹介します。
昭和度が高い資料の特徴① 線が多い
表の罫線や見出しの囲み、領域を四角で囲んだ下敷きなど、線が多いとBusyな印象になります。私は外資系企業で働いていたので各国の資料を多く目にしてきましたが、日本の資料は総じて、線の本数や種類が多い印象です。
たとえば、表の外枠は太線、中の線は細線と点線などと使い分けています。同じような表でも海外の資料は罫線が少ないのです。罫線を引かず、数字の桁をそろえてある程度の間隔をあけています。これが見えない罫線の代わりになっているわけです。
また、1枚のページに複数の情報を書くような場合も間隔をあければ囲み線などは不要ですし、むしろ洗練されて見えます。これをとても太い赤線にしている資料などは、中に書かれている情報よりも、線に目がいってしまうのでノイズになっています。
まずは、線をどれだけなくせるかチャレンジしてみてください。想像以上にすっきりしてきますし、資料を作成する際の微調整もいらなくなります。
昭和度が高い資料の特徴② 色が多い
色数の多さも日本はダントツでした。それもビビッドな濃い色です。見る側になるとストレスを感じませんか? といいつつ、私自身ビビッドな色使いの資料を作っていた時代があり、「ビジュアルクイーン」なる異名をいただいていましたが、今となってみると気恥ずかしく思います。また、印刷する際は白黒にすることや、色の違いを認識しづらい方への対応という意味でも、多色使いはあまりおすすめではありません。無彩色(白・黒・グレー)でも十分に伝えることはできますので、色に頼るのはやめてみましょう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら