タカタの民事再生が一筋縄ではいかない理由

国をまたぐ債権者とスポンサーが波乱要因

債権者の筆頭が、外国の国家であるという事案も、そうみることができないレアなケースであり、今後の調整には意外と難航するかもしれない。

誰が、再建のキーマンになるのか

タカタの売り上げを構成する販売先は、トヨタ自動車などの自動車メーカーであり、彼らは同時に、リコールの費用を肩代わりしたタカタに対しての債権者でもある。

また、トヨタなどが肩代わりするリコールの負債総額は1兆円規模であるものの顕在化していないため、トヨタなどにしてみても金額を明確にはできず、当然、廉価の金額では折り合いをつけることはできない。

債権者であるトヨタなどからすれば、今すでに存在する借金をそれなりに返してくれなければ、タカタのエアバッグを買わないという思考にも陥る。そうなれば、新しい会社の売り上げは上がらず、事業を譲り受けても、2次破綻を引き起こすだけなのである。

さらには、スポンサー企業が、中国企業というのも気にかかるところである。国の基幹産業である自動車産業で、かつ、ここまで大ニュースとなった事案のスポンサーが外国企業となれば、シャープと鴻海精密工業の事例同様、難癖をつける人たちが増えることが目に浮かぶ。

また、今回の中国の寧波均勝電子は、1750億円で基本合意を結んだとあるが、そもそも事業譲渡価格が認められなければ事業譲渡自体は成立しない。価格以外の条件が折り合わずに日本国民の民意という見えない逆風が吹けば、スポンサーが降りる可能性も捨てきれない。

本件は、自動車メーカーがいちばんのキーマンだが、資金繰りを助ける金融機関への目配せも必要であり、アメリカ合衆国という国家も相手にする必要がある。当然、これらをまとめて事業を継続させていくスポンサーや、それを助ける協力会社などさまざまな登場人物が存在し、一筋縄ではいかない相当難しいハンドリングを要求される事案であることに間違いはない。

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