「JR北海道を助けて」…JR東日本の株主が要望 発足30年の株主総会は混乱なく終えたが…

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もう一つ特徴的だったのは、労使関係に関する質問が複数出たことだ。「警察庁は『JR東労組に革マル派がそうとう浸透していると認識している』と述べている。もし共謀罪の捜査対象になったらどうするのか」「JR東海(東海旅客鉄道)やJR西日本(西日本旅客鉄道)は革マル派を排除したのに、なぜJR東日本はできないのか」といった質問が出た。

質問に対してJR東日本は「報道等で存在は承知しているが、活動内容は承知していない。社員の個々の信条は調査していない。職場規律を乱した場合には厳正に対処する」「当社には8つの労働組合があるが、それぞれの立場を尊重し、ルールにのっとり真摯に議論して課題を解決している。それが現在の当社の経営成績につながっている」とし、現行の対応に自信を見せた。

JR東日本は営業範囲が広いせいか、今回は私鉄各社の株主総会のように、自分が利用している路線を便利にしてほしいといった質問は出なかった。質問者は昨年と同じ12人、特段の混乱はなく、昨年同様、2時間程度で総会は終了した。

なおJR東日本以外にJR東海とJR九州(九州旅客鉄道)もこの日に株主総会を開催した。上場4社中3社という集中度である(JR西日本は6月22日開催)。さらに言えば関東の大手私鉄は8社中6社が同じ日(6月29日)に株主総会を開催する。近年は上場企業の間で株主総会の分散化が進んでいるが、鉄道業界ではまだまだだ。

東京駅の知見をベースに品川を開発

株主総会は千代田区のホテルニューオータニで開催された(記者撮影)

それ以外の主な質疑応答は以下のとおり。

――北陸、北海道新幹線の開業効果は?

北陸新幹線の2015年度の収入は455億円、北海道新幹線の2016年度の収入は85億円。どちらも目標を大きく上回った。交流人口は北陸で従来比1.6倍、北海道で1.3倍に拡大した。首都圏で北陸がしっかり認知されたし、北陸―長野、函館―仙台といった、これまで実績の少なかった地域間で交流が大きく増えた。

――羽田アクセス線への期待は大きい。今後の計画はどうなっているか。

羽田と東京、羽田と新宿、羽田と新木場という3つのルートを整備する計画を作った。具体的な工事に入るためには事業スキームに対する自治体などのご理解が必要。現在は事業スキームを検討している段階で、折に触れて進捗状況を発表したい。楽しみにお待ちください。

――海外展開の進捗状況は?

タイ・バンコクでは「パープルライン」が昨年8月に開業した。当社の子会社・総合車両製作所が車両を製造し、現地に作った新会社がメンテナンスを行っている。インドのムンバイ―アーメダバード間の高速鉄道計画では、当社の子会社・日本コンサルタンツが入札支援などのコンサルタント業務を行っている。

――品川―田町間の開発について、JR東日本はこれほど大規模の開発事業の経験はない。株主にはどんなメリットがあるのか。

当社が手掛けた駅を中心とした街づくりで最も大きなものは東京ステーションシティだ。東京駅の周りにグラントウキョウノースタワー、サウスタワー、サピアタワーを造った。東京駅の駅舎を復原し、東京ステーションホテルというホテルもある。地下にはグランスタという商業エリアがある。この知見をベースに品川の開発を行う。投資額に見合うリターンが出るよう取り組んでいく。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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