機関投資家は日本株を静かに買っている 「こう着感」が高まりそうだが心配は不要?
とは言っても、当面は悪材料も見出しにくい。原油先物市場の指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物価格は軟調で、一時は米国のエネルギー関連株を押し下げたが、米国株はそれを押し返して全体としては底固い。また増産を進めている米国のシェールオイル・ガスも、エネルギー価格が低迷すれば減産するだろう。価格の上下動と増減産の繰り返しで、エネルギー価格は長期的にボックス圏内の推移と見込む。
FRB(米連邦準備理事会)の利上げを受けて、「これで米国景気はどうせお終いだ」、と叫ぶ専門家も多い。ただそのほとんどが、「米景気拡大が長期化しているからこれ以上長くはもたない」、といった漠然とした主張にとどまっているように感じられる。
また、米長期金利の低下を受けて、「米長期債市場が、先行きの景気悪化を正しく予言している」といった類の説も多く目にする。
米長期債市場は「米経済悪化」とみなしていない
しかし、米10年国債利回りを、「インフレ連動債利回り」(=米経済の実質成長期待を反映した部分)と、それと名目10年国債利回りの差である、「期待インフレ率」(=文字通り、インフレ期待を反映した部分)に分解すると、期待インフレ率は低下しているが、インフレ連動債利回りは、このところ横ばいだ。
すなわち、米長期金利の低下は、「先行きは、あまりインフレにはなりそうもなさそうだ」という投資家の見解の反映だけによるものであって、米長期債市場は、米経済が悪化するとは少しも考えてないことになる。
再度日本株に目を転じると、国内外の機関投資家(長期筋)は、日本株を一気に買ってくることは全くない。ただし、この長期筋を中心に、じわじわと資金を振り向けているようだ。これは、血沸き肉躍るような株価上昇材料が皆無でも、理詰めで日本株の上昇が予想されるなら、これらの投資家は「買い」を組織決定して、着々と計画通り投資行動を進めるからだ。何度も地道を連発して恐縮だが、こうした地道な長期投資家の動きが、地道な株価上昇に貢献していくだろう。
こうした株価全般の地合いが続くと予想するし、当面は株価を大きく上下させそうな材料にも欠けるので、今週の日経平均株価は2万円~2万0300円といった、狭いレンジ内での推移を予想する。残念ながら、目先はつまらない相場になりそうだ。
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