機関投資家は日本株を静かに買っている 「こう着感」が高まりそうだが心配は不要?
むしろ気がかりなのは、株価の全体論より、個別物色の行き詰まりだ。東証マザーズ市場は、個人投資家好みのトレーディングの対象になりそうな銘柄が多いが、全体の相場の地合いが強いなか、同指数は20日(火)には前日比で下落した。これは、主力株が買い上げられて日経平均株価などが上振れするなか、マザーズ銘柄から主力株への資金移動があったと解釈される。
一時的なシフトであり、この時点では懸念する必要は薄いとみていた。実際マザーズ指数は22日(木)にかけて、上昇基調に復した。ところが23日(金)は、株式市場全体の地合いにこう着感が強いなか、特に悪材料もないのに、前日比で2.84%もの急落となっている。
これは、個々の企業に実態面で悪化が生じたわけではなく、個人投資家好みの銘柄が大いに買い上げられ続けた後、バイオ株などを中心に株価行き過ぎの反動が生じたためだろう。
この点は、少し前の米国株式市場で、いわゆるFAANG株(フェイスブック、アップル、アマゾン、ネットフリックス、グーグル(企業としてはアルファベット))が人気化した後、株高への警戒が生じ、一時大きく自律反落した展開と、相場付きが似ている。
また、先週までは、消費関連銘柄で、株価上昇が目立つものが多かった。それはたとえば、エステー、プリマハム、資生堂、ツムラ、神戸物産といったようなものだ。こうした企業は、消費関連という業態上、業績が安定しているため、物色の安心感があり、買い上げられたものだろう。しかしマザーズ指数と同様、23日(金)は、前述の銘柄群の株価は、エステー以外は反落している。
「柱なき相場」がしばらく続く?
「配当利回りが高い」「キャッシュフローが潤沢だ」「ROE(自己資本利益率)が高水準だ」といった銘柄群も、物色されてきた。これも財務面からの安心感に基づいたものだ。こうした安心できる銘柄であれば買ってよい、という投資家がさらに乗り、株価が押し上げられていくことで、高株価に対する警戒感が広がっていけば、安心物色が不安に化けて、株価が反落を始めうる。任天堂も、こうした「任天堂なら買っても安心だ」という心理が強すぎれば、同様の穴に落ちるリスクが生じる。
安心物色の対象となった銘柄群に、株価一服感が強まった局面で、別の銘柄群に物色が移行できればよいのだが、そうならずにこう着感が広がる恐れは否定できない。
ただ、そうした警戒すべき局面が実現しても、「地道な株価上昇基調」を突き崩すまでには至るまい。とすれば、個別の銘柄物色を行なう個人投資家や、アクティブファンドマネージャーにとっては、柱となる物色対象が定まらず、そのため運用成績が指数を上回りにくいといった、つらい相場付きがしばらく続くかもしれない。
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