JR名古屋駅の「進化」は東京・大阪駅を超えた 駅に超高層ビルが3棟、百貨店は絶好調

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名駅地区で5月の売り上げが押し上げられたのは、4月に名古屋駅直結のタカシマヤゲートタワーモールが開設された効果が大きい。百貨店とモールを合わせると、「百貨店単館だった前年同月との比較で、入店客数が約1.7倍に伸びている」(JR東海)という。

当のJR東海もここまでの成功は予想していなかった。1990年にJR東海が名古屋駅を再開発して高層ビル化する計画を決めた際、高島屋ではなく松坂屋が入居する予定だった。

松坂屋は当時、栄に加え現在ゲートタワーがある場所でも松坂屋名古屋駅店を営業していた(2010年に閉店)。にもかかわらず松坂屋が出店を決めた理由は「他地域の百貨店が出店して客を奪われたら大変だ」という判断が働いたためだ。折しもバブル景気がピークを迎えた頃である。あるいは、「名古屋駅に2店出店しても大丈夫」と甘く考えていたのかもしれない。

しかし、その後バブル崩壊に伴い松坂屋の業績は急速に悪化、投資負担の大きい名古屋駅出店を1994年に断念した。JR東海は松坂屋に代わる百貨店探しに追われた。高島屋が新たなパートナーに決まったのは1996年のことである。

近隣県から名古屋に買い物にやってくる

東洋一といわれた旧名古屋駅(写真:JR東海)

高島屋開業初年度の売上高は608億円。それが2014年度には1300億円を突破、14年間で倍増した。一般的に百貨店は、ショッピングモールやネット販売などの新業態に押され、ビジネスモデルとしては陳腐化しつつある。なぜ、ここまで業績を伸ばすことができたのか。

駅直結だから成功したという見方もあるが、それは数ある要因の1つにすぎない。駅直結でも成功していない例はある。たとえばJR大阪駅は大規模開発に際して三越伊勢丹が出店したが、売り上げ不振で店舗面積の縮小に追い込まれている。

「新幹線乗降客に加え、岐阜や三重といった近隣の県から名古屋に買い物に来る人が増えたことが要因の1つ」と、JR東海の担当者は言う。確かに近隣県の買い物客にとっては、わざわざ名古屋で地下鉄に乗り換えて栄の百貨店に行くのはおっくうかもしれない。名古屋駅の真上にあるデパートで買い物ができるなら、それに越したことはない。

では、近隣県からの流入はどのくらいあったのだろうか。2002年ごろには1日平均17万人程度だったJR名古屋駅の平均乗車人員は2015年度には20万人になった。確かに増えているが、高島屋の売り上げの伸びに比べれば小さい。

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