なぜ「定年後」の男性は悲惨なことになるのか

イキイキしている人は2割未満?

――個人事業主と接することで、サラリーマンとしての自分を見つめ直し、社会との繋がり方を考えるきっかけになるのですね。

そうですね。ほかには関心のある人、格好いいと思う人、うらやましいと思う人に近づくのも大事です。そういった人には自分を投影している何かがあり、それに気づけるヒントがあるということですから。また、話を聞く際は1人、2人ではなく、できるだけ多くの人に接することで、自分の立ち位置が見えてくると思います。

――『定年後』では、会社を辞めてもイキイキと過ごしている人の事例を紹介しています。会社員からそば屋や美容師、大道芸人など、一見するとまったく違う世界に転身した人も多いように思えますが、何か共通点はあるのでしょうか。

会社員としての経験を活かし、次のステージに行く人が多い印象です。たとえばそば屋に転身した人は、製鋼会社の現場で職人的な仕事をしていたのですが、そば作りの時は、部屋の気温や湿度を見ながら、最適な方法でそばを打っていました。職人的な仕事という意味では共通していたのです。ご本人も「鉄を打つか、そばを打つかの違いだ」と話していました。

定年になってからまったく新しいことを始めても、会社員として培ったレベルまで上げることはほぼ不可能です。これまでしてきたことをカスタマイズして、社会のニーズに応えられるものにすることが大事ですね。それと、子どもの頃に好きだったこともヒントになります。

小さい頃に好きだったことは大人になっても変わらない

――それは具体的には、どういったことでしょう。

小さい頃に好きだったことや、コンプレックスと感じていたことは、実は大人になっても変わりません。それをうまく取り入れた人は、イキイキと過ごしていることが多いですね。

私は保険会社でサラリーマンをしながら、並行して執筆活動をしていたのですが、周囲からは「おかしなことをしている」と思われていました。編集や記者の仕事をしていたならともかく、まったく別の業界にいたためです。けれど中学の同窓会で、同級生は「お前、昔から人の話を聞いて、それを面白く話すのが好きやったからな」と納得してくれたのです。大人になると、違う自分になったように錯覚しますが、実はベースは変わっていないのですね。私は50歳前後の人たちへの研修でも、「小さい頃にワクワクしたことや、時間を使ったことを考えてみてください」と伝えるようにしています。

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