食べログレビュアーへの疑惑が映す根本課題 もう自助努力や自浄作用をアテにはできない
これらの論調は、宣伝であることを消費者に気づかれないように宣伝を行うステルスマーケティング、いわゆる「ステマ」と呼ばれるような行為が、時折大きく表面化するたびに、必ずと言っていいほど語られている。
今回、「うどんが主食」氏によるステマ的な行為があったかどうかは、そもそもはっきりしていない。だが、こういった問題をきっかけにして、レビューや口コミによって成り立つビジネスや、企業とインフルエンサーとの関係性等について議論が巻き起こったのも事実。そして、往々にして「ステマはよくない」「企業は消費者を欺いてはいけない」といったトーンで、結論としては「業界の自助努力や自浄作用に期待する」といったところに着地してしまう。これもまたいつものことだ。
中立的な第三者による抑制が働いていない
つまり、いつまでも同じところで足踏みをしているような状況でしかない。おそらくは、今後も同様の問題が起こるたびに、同じように炎上し、同じような議論がなされ、同じような着地点に落ち着いてしまうだろう。こうなってしまう原因はいくつか考えられるが、日本のインターネット空間が抱える構造的な問題でもある。それは、中立的な第三者による抑制や監視の仕組みが整っていないことだ。
アメリカにはFTC(米連邦取引委員会)と呼ぶ第三者機関がある。いわゆる「ステマ」といわれるものに対して、厳しい姿勢を見せ、強く警告を発し続けている。たとえばアクセス数の多いブログの力を借りて宣伝効果を上げたい企業と、そのブログを運営しているブロガーとの間で、金品の授受等の関係が問題視されるようになったのを受け、2009年に「広告におけるエンドースメント(推奨広告)とテスティモニアル(証言広告)に関するガイドライン」をおよそ30年ぶりとなる形で改訂している。
そして、この改訂以降、FTCはテクノロジーの進化によって生まれる新しい方法論に対応する形で、このガイドラインを継続的にアップデートし続けている。現在は、ブログだけではなく、「Facebookページ(および投稿)に対して“いいね!”ボタンを押させる行為」や、「ピンタレストやインスタグラムなどに自社製品に関する画像や動画を投稿してもらうような行為」まで「エンドースメント」と見なしており、ガイドライン(企業とインフルエンサーとの関係明示方法等、非常に細かいものとなっている)にのっとるよう、つねに呼びかけている。
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