コスパ検証!「MBA」は本当に稼げるのか? 「テキストで自習」では得られない価値とは

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筆者は仕事柄多くの経営者にお話を聞く機会が多いのですが、共通しているのは、結局はベースとなるやる気の高さです。そしてそれは通常、志や良い意味での野心、アスピレーション(渇望)に裏付けられています。

大学院にもよりますが、通常、MBAでは、何度も「君は結局何がしたいのか、何をなし遂げたいのか?」と問いかけられます。それを自問し、学びを深める中で、「自分の使命はこれだ!」ということに行き当たるのです。

ハードな課題も、成長に一役買っています。中には「低空飛行」で学位だけを取得したいという人間もいますが、それでは将来の成長にも「天井」ができてしまいます。天井を突き破り、タフな課題も楽しめるようになるには、やはり志は重要です。志を持てるからタフな課題も楽しめる→タフな課題をこなせるから、一段視座が上がりより高い志を持てる→……という好循環は確実に存在しているのです。

論理的に考える

もう1つ、ディスカッション重視の経営大学院で徹底的に鍛えられ、実際に経営学の学びを加速するのは論理思考です。端的にいえば、正しく考えるための姿勢やスキルです。これらは、情報収集や分析、意思決定、問題解決、コミュニケーション、制度設計などのベースになりますから、結果を出すうえで重要なのは当然といえば当然です。しかし、重要にもかかわらず、日本の教育制度では欠落している部分でもあります。

ある地方有力企業の経営者の方はこう言っています。「論理思考ができる社員が多いことは、それだけで地方では競争優位になる」。一般的な教育では欠落しているがゆえに、それがあるだけでも武器になるということです。

一方で、グローバルな競争では、これはできていて当たり前、できていないと手痛い失策を招きかねません。アドバンテージになるのか必要条件になるのかは時と場合で変わりますが、論理思考力が高くて損をすることは絶対にありません。これも実はMBAの基本中の基本なのです。

こうしてみてくると、MBAはやはりビジネスで結果を出すための基本をコンパクトに学ぶ設計になっていることがわかります。もちろん、時代は変わりますから、現代であれば、テクノロジーの要素を増やすなどのカリキュラムの変化はあります。

ただ、いたずらに先端分野を追いかけても、基本ができていないとやはり結果は出ません。基本的な経営学の知識に加え、それを加速化する志や論理思考を併せ持ったときに、ビジネスパーソンの「稼ぐ力」は圧倒的に高くなるのです。

嶋田 毅 グロービス経営大学院教授、グロービス出版局長

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しまだ つよし / Tsuyoshi Shimada

グロービス経営大学院教員、グロービス出版局長。東京大学理学部卒業、同大学院理学系研究科修士課程修了。戦略系コンサルティングファーム、外資系メーカーを経てグロービスに入社。累計160万部を超えるベストセラー「グロービスMBAシリーズ」のプロデューサーも務める。著書に『MBA 100の基本』『ビジネスで使える数学の基本が1冊でざっくりわかる本』『KPI大全』(以上東洋経済新報社)、『グロービスMBAミドルマネジメント』(ダイヤモンド社)など。経営戦略、テクノベート・ストラテジー、研究プロジェクトなどの講師を務めるほか、各所で講演なども行っている。

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