アジアの資金移動、テーマは「南から北へ」

最大のリスクは中国

8月15日、債券から株式へ、新興国市場から先進国市場へ資金が向かう動き「グレート・ローテーション(大転換)」が今年の主要な投資テーマとなっているのを横目に、アジアでは独自の資金移動が起きている。写真は2011年10月、上海で撮影(2013年 ロイター/Carlos Barria)

[シンガポール/香港 15日 ロイター] - 債券から株式へ、新興国市場から先進国市場へ資金が向かう動き「グレート・ローテーション(大転換)」が今年の主要な投資テーマとなっているのを横目に、アジアでは独自の資金移動が起きている。それは「南から北へ」だ。

海外からの投資資金は7月以降、中国や韓国、台湾の株式市場を押し上げている。新興国市場の先行きがさえない中、投資家が一部地域に価値を見出している兆候だ。

これらの市場が投資を引きつける理由はいくつかある。

日本や米国といった先進国の株式市場が堅調なことは論を待たないが、米国経済の回復につれ、貿易に立脚し、開放されたアジアの経済体が伸びる余地があると信じる投資家が増えている。

また、中国経済崩壊論は誇張されていると一部アナリストは考えており、中国や韓国といった国では膨大な貿易黒字が緩衝剤になる。

BNPパリバによると、韓国株への海外ポートフォリオフローは7月に総額8億5300万ドルとなり、それまでの数カ月における大規模な流出分の一部を取り戻した。韓国の債券市場には今年に入ってから120億ドル超の資金が流入した。

また、外国人投資家は7月、台湾の株式を27億5000万ドル購入。前月の売りを相殺した。

一方、外国人投資家はインドネシア株を2億5300万ドル売却し、インドの債券や株式を大量に売り浴びせた。

中国の株式や債券への資金の流れはつかみづらいが、香港上場の主要中国企業銘柄で構成するハンセン中国企業株指数(H株指数)<.HSCE>は6月末以降、約9.5%上昇した。

日米の株価は既に上昇

シティ・インベストメント・マネジメントのアジア債券部門責任者、ジョン・ウッズ氏は「アジアでの出来事は1つのローテーションだ」と指摘。「フローの面で起きていることは、東南アジアからの急速な資金流出と、北部アジア、特に韓国と台湾への資本流入だ」と説明する。

大半の投資家にとって、最大の判断材料は近付く米緩和縮小だ。

アセットアロケーションの大きなテーマは、依然として債券から株式への転換となっており、シティのデータによると、8月7日までの1週間における債券ファンドの資金流出額は世界的に22億ドルとなった一方、株式ファンドへの資金流入額は96億ドルとなった。

しかし、日本や米国の株式は価格が上昇しており、投資家が資金の全てをドルや円資産につぎ込むのに慎重となる要因の1つとなっている。

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのアセットアロケーションチーム(シドニー)のシニア・ポートフォリオ・マネジャー、マーク・ウィルズ氏は「S&P総合500種企業の売上高は依然さえず、利ザヤを拡大するのが困難となっている」と指摘する。

次ページ投資をためらう理由
マーケットの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 自衛隊員も学ぶ!メンタルチューニング
  • 働き盛りでがんになった人たちの行動
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • 最新の週刊東洋経済
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
コロナ時代の勝者と敗者<br>不動産 熱狂の裏側

実体経済の悪化を尻目に、国内外から熱い視線が注がれる日本の不動産。業界の雰囲気とは対照的に、上場不動産会社の株価は軒並み軟調です。コロナ後の新常態で誰が笑い、誰が泣くのでしょうか。現場の最新情報を基に不動産市場の先行きを展望します。

東洋経済education×ICT