アメリカ株は、「天井を付けた」かもしれない

今後の日本株への影響はどうなるのか

しかし今回のように、利上げ前段階の早いタイミングで、これだけ市場と対話(今後の引き締め数字を事前に公表)しながら行う、慎重なFRBの政策によって、株価はなかなか天井から降りてこないかも知れない。はっきり「天井圏」と断言したいところなのだが、しばらくはあまり使わない言葉だが「成熟圏」になるかも知れない。これこそがFRBの狙いなのだろう。

一方、米国と違い、日本はまだデフレ脱却に邁進している時で、場合によっては世界の資金が、「成熟圏」で伸びしろの少なくなった米国株から日本へ向かって来ることも考えられる。この理屈から言うと、米国株の天井が即、日本株の終わりにはならないことになる。

さてその日本株だが、15-16日の日銀金融政策決定会合では、政策も黒田東彦総裁の会見も、ほぼ市場の予想通り緩和継続の結果になった。政策の選択余地のあるFRBや、そろそろ余地が出て来たECB(欧州中央銀行)に対して、デフレ脱却の一本道しかない日銀(黒田総裁)としては当然のことだろう。勿論、筆者から言わせれば、出口論など時期尚早だ。

日本株・日本経済の先行きに「大きな変化」も

一方、日本株においては、6月9日の臨時閣議で決定された今年の経済財政運営の基本方針、いわゆる「骨太の方針」が、まだマーケットに織り込まれていないといえそうだ。

財政運営と言うとすぐに財政の健全化、端的にはプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化が一本道のように言われる。

しかし今回、ここに「もう一つの道」(GDPに対する債務残高の安定的引き下げ)が加わったことはご承知の通りである。一見、アベノミクスの「財政出動」を金縛りにしている「財政の健全化」にもう一つの縛りが加わったように見えるが、これはまったく逆だ。日本の債務残高の対GDP比は250%(2016年、財務省)で、一概には比べられないものの、この部分だけで見ると、あのギリシャを「問題にしない」高い水準にあることも、ご承知の通りだ。

財政の健全化とは「入るを量りて出ずるを制す」なので、財務省としてはまずは不透明な入りよりはハッキリしている「出」を押さえることになる。これでは思い切った財政出動ができない。

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