消費増税決断で、再び1ドル103円目指す 市場動向を読む(為替)

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逆に消費増税見送りとなれば、駆け込み重要は発生せず、期待インフレ率の上昇や日米実質金利差拡大は想定しがたくなる。日銀の追加緩和観測も高まりにくくなるかもしれない。このように、ファンダメンタルズ面や政策対応面などを考慮すれば、「消費増税→円安」、「増税見送り→円高」と解釈するのが妥当だと考えている。

消費増税のマーケット的解釈は?

ただ、これまでは、消費増税に対する為替市場の反応はマチマチで、いかにも、マーケット的な解釈・反応を示してきた。

つまり、一つには、消費増税に伴う景気減速が日本株を下落させ、リスク回避的な円高につながる反面、増税見送りは日本株にポジティブで、リスク選好が強まり、円安要因になるという解釈がある。その一方で、増税見送りは日本国債市場の下落を招き、アベノミクスへの失望感をかき立て、持高調整的な日本株安、円高につながるとの解釈もある。

安倍首相の消費増税に伴う法人税減税の提案は、こうしたマチマチだった為替市場の「マーケット的な解釈」を上述した「ファンダメンタルズ的な解釈」に収斂させることに貢献しよう。

ただし、ここで注意する必要があるのが、法人税減税そのものは本質的に、決して円安的な政策ではないということだ。潜在的には海外からの対内直接投資を増やす可能性があり、一方で日本企業による対外直接投資を増やす要因としては働きにくい。国際収支面のみに着目すれば、法人税減税はむしろ円高促進的な政策とさえ言える。

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