ヤフー、ECで「ポイント大盤振る舞い」の思惑 ソフトバンクユーザー厚遇でライバルを猛追
――これまでソフトバンク利用者向けの施策はキャンペーンとして展開してきたが、その中で手応えを感じたということか。
キャンペーンは(6月1日から)恒常的な施策とするための前哨戦という位置づけだった。実際、キャンペーンでは期待した効果が得られた。まず、新規でヤフーショッピングを使ってみようという人が増えた。1人当たりの単価も増加傾向にある。
とはいえ、ソフトバンクユーザーでも他社ECを使っている人が大半だ。これまでグループシナジーが効いていなかったことを反省しつつ、じっくり時間をかけてお得感に気づいていただこうと。
ECはまず、欲しい商品が一とおりそろっているかが重要。そこが不十分だと、いくら使い勝手のいいサイトでもお客さんは来ない。だからまずは(2013年10月から)月額出店料、売り上げロイヤルティを無料にして、出店数・商品数を増やすことに専念してきた。
ただそれだけでもダメで、次は他社と比べていかに安く買えるか。そこを訴求するために今回の施策がある。これはお得感が伝われば絶対に効果が出る。正直、誰がやってもうまくいく(笑)。あとは、生まれる効果が(付与するポイントの)コストに見合うかどうかという問題だ。
多重的なビジネスチャンスが生まれる
――ソフトバンクもポイント費用を負担するが、ソフトバンクの狙いは?
「ソフトバンクユーザーなら安く買い物ができる」というのは、明確なメリットになる。ひょっとしたら、他社から回線を乗り換えてもらえるかもしれないし、他社に乗り換えようとしている人を引き留められるかもしれない。
――今期、ヤフーの業績予想は2期連続の営業減益。中でもポイントにかかわる販促費用は重くなる。ショッピング事業が利益に貢献し始める時期が延びることに、厳しい目を向ける投資家もいる。
ヤフーショッピング単体で見ると、確かにそう思われるかもしれない。ただ、決済事業がヤフーの大きな柱になりつつあるのは、ショッピングにおける利用が確実に増えているからだ。
また、多くの顧客の買い物データがたまってくれば、ショッピングのサイトはもちろん、ヤフーのさまざまなサービスサイトで広告配信に生かせる。取扱高や顧客が増えることで、多重的なビジネスチャンスが生まれるということだ。
いつからどれくらい利益に寄与するかというのは、そういった多重的な面をどう折り込むかによって大きく変わる。ポイントを積めば、ショッピング事業単体で見たときの収益貢献は遅れていく。だが、ここだけで黒字化を急ぐつもりはありません、ということだ。
もちろん、ヤフー全体の営業減益を5年、10年と続けるようなことはあり得ない。上場企業として適切なやり方で、今の先行投資が数年先の業績にポジティブに跳ね返ってくるようにしなければならない。
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