鉄道写真家、独立後の「1枚」はこう変わった 「宮仕え」時代とは違うサバイバル仕事術

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流し撮りを決めた後、ほかの撮影地に移動したものの、最後にもう一度この場所を訪れた。山中は日陰になるのも早いが、5月6月は想像より長時間にわたって峠に光が差し込む。朝や夕方は斜光線となり、日中とは異なる光がとても美しい。

そこで、望遠気味のレンズで撮影していたのをやめ、広角寄りのレンズを選択。構図内に余計なものが入らないギリギリまで木々を入れて、あえて車両を小さく写してみた(写真3)。実際撮影してみるとこの場所の絵の中ではいちばん気に入ったカットになったのだが、結局このカットにたどり着くまで合計で5時間近く費やしたことになる。

写真3 構図内に余計なものを入れずギリギリまで木々で埋めた(筆者撮影)

今回のような撮影は誰かの依頼を受けて出向いたわけでなく、自分自身のために行っていることだ。こんなに時間をかけた撮影であっても日の目を見ないかもしれないし、実際そういったカットのほうが多い。発表する機会がないということは、収入が得られないということだ。

そこがフリーランスのつらいところではあるが、撮影に行かないことには「写真家」とはいえない。写真家として自分の作品を追求するために独立したのだから、これからも焦らず、そして独立した直後のあの「恐怖」を忘れずに、自身の作品にこだわって鉄道を見つめていこうと思う。

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