加計「一転再調査」から始まる安倍政権の危機 政権運営には身内からも批判の声が出ている
6月6日の閣議後の会見で、鶴保庸介沖縄北方担当大臣がこのように述べている。
「国民の皆さんが『何かあるのかな』というふうに感じている思いも感じないわけではないが、そのへんのところをしっかり説明責任を果たして納得がいくようにしていただきたい」
鶴保大臣は昨年8月の改造内閣で入閣したが、すぐさま女性問題が発覚。また「振興と基地問題はリンクしている」と発言し、物議を呼んだ。
よって通常国会の後に行われるとされる内閣改造には残らないといわれており、そういう自由な立場からの発言だったのかもしれない。だがもうひとつ側面がある。
鶴保氏は二階派
それは鶴保氏が二階派で、その発言には二階俊博氏の意向があったのではないかと推察されることだ。実際に二階氏は9日にテレビ番組の収録をしたとき、いち早く証人喚問も含めた前川前文科事務次官の国会招致について言及したのだ。
まさに官邸のすきをつくタイミングの発言だが、その背景に幹事長ポストをめぐる二階氏と菅義偉官房長官の闘いが見える。
第2次安倍政権発足時から内閣を支え、辣腕との評価を不動のものにした菅長官は、昨年7月7日でもって官房長官の歴代最長の在任記録を達成している。次の野望が生まれてきても当然だが、地元ではポスト安倍狙いの発言も目立つと言われている。
そのためには幹事長に就任して衆議院選挙を勝ち抜くことが必須になる。菅氏は加計学園問題でも安倍首相の信任を得ようと、「任せてくれ」と言ったとの話が伝わっている。一方で派閥内に落選者も抱える二階氏も、幹事長として次期衆議院選を戦いたい。二階氏の発言はそのような菅長官への先制パンチと解するならば、筋道が通る。
またここに来て、麻生太郎氏がポスト安倍を狙っているという説も急浮上。都議選の翌日である7月3日には、山東派や佐藤勉氏らと合併し、新・麻生派を結成する予定だ。さらに宏池会を飲み込み、派閥の拡大を急ぎたい。大宏池会が早期に実現すれば、麻生氏の再登板の可能性も出てくる。
さて国会は18日に閉会予定だが、小規模の延長論も出ている。いずれにしろ閉会になれば、国会での審議はなくなり、代わって政局が進むことになる。
衆議院議員の任期満了まであと1年半。事態が急速に流動化すれば、来年の総裁選に大きな影響を与える可能性もある。まさに敵中の敵は味方の中にあり――それが自民党政治の本髄かもしれない。
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